住宅ローンを組んだら絶対に受けたい減税制度が住宅ローン減税です。
住宅ローン減税は減税効果が金額的に非常に大きな税金だからです。
しかし、住宅ローン減税を受けるためには確定申告をしなければなりません。
会社員の方の中には「確定申告をしたことがない」と確定申告に対して不安を抱えている人も多いのではないでしょうか
住宅ローン減税の確定申告の方法を詳しく理解して、住宅ローン減税を確実に受けることができるようにしましょう。
住宅ローン減税とは?
住宅ローン減税とは以下に該当する住宅を住宅ローンで購入した場合に受けることができる減税制度です。
- 自ら居住する住宅
- 床面積が50㎡以上あること
- 中古住宅の場合は耐震性能を有していること
- 中古住宅の場合は築年数が一定年数以下であること(耐火建築物以外の場合(木造など):20年以内、
耐火建築物の場合:25年以内) - 住宅ローンの償還年数が10年以上であること
- 合計所得金額が3000万円以下であること
- 増改築等の場合、工事費が100万円以上であること
おそらく住宅ローンを組んだほとんどの人が上記の条件に当てはまります。
ではどのくらいの控除を受けることができるのでしょうか?
1年目〜10年目は住宅ローン残高の1%が税額控除
住宅ローンを組んだ1年目〜10年目は住宅ローンの年末残高の1%が税額控除されます。
年末の住宅ローン残高が3,000万円であれば30万円の税額控除を受けることができます。
税額控除は支払う税金から控除を受けることができるものです。
会社員の方は源泉徴収によって毎月所得税が徴収されています。住宅ローン控除を受けることで、源泉徴収された税金が「払いすぎた税金」として翌年1月くらいの給料で戻ってきます。
住宅ローンの金額によっては30万円以上の還付を受けることができるのでかなりのメリットがあります。
11年目〜13年目は消費増税分が返ってくるだけ
2019年10月の消費増税によって、2019年10月1日以降に居住を開始した住宅を購入した住宅ローンに関しては11年目から13年目まで以下の1か2のうち少ない方の金額の控除を受けることができるようになりました。
- 住宅ローン残高又は住宅の取得対価(上限4,000万円)のうちいずれか少ない方の金額の1%
- 建物の取得価格(上限4,000万円)の2%÷3
つまり、最大で控除を受けることができるのは11年目〜13年目の合計で建物の取得価格の2%です。
消費増税によって2%の負担が増えた分を11年目〜13年目に還付するという制度であるため、11年目以降の控除は得になるわけではありません。
住宅ローン減税を受けるには
住宅ローン減税を受けるためには、自分で申告を行う必要があります。
- 初年度は確定申告
- 2年目〜13年目は年末調整
この2つの方法によって申告を行うことで控除を受けることができます。
それぞれの手続きについて確認しておきましょう。
初年度は確定申告が必要
住宅ローン減税を受ける初年度は自分で税務署へ確定申告を行わなければなりません。
確定申告は毎年3月15日が期限となっていますので、期日までに忘れず確定申告書を提出しましょう。
確定申告の方法については詳しく後述します。
2年目以降は年末調整
2年目以降は会社に年末調整をすればOKです。
確定申告を行うと、税務署から「住宅借入金等特別控除申請書」という書類が2年目から13年目分が届きますので、該当する年度の書類に必要事項の記入を行い、11月頃に銀行から届く「住宅ローン年末残高証明書」を年末調整時に会社に提出することで住宅ローン減税を受けることができます。
初年度の確定申告書の作り方
住宅ローン減税初年度は自分で確定申告をする必要があります。
会社員の方は確定申告をしたことがないという人がほとんどです。
ここでは、確定申告書の作り方について解説していきます。
確定申告に必要な書類
住宅ローン減税を受けるための確定申告に必要な書類は以下の通りです。
- 確定申告書(A): 税務署から入手する。国税庁のサイトからも入手可能
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書:税務署から入手する。国税庁のサイトからも入手可能
- 本人確認書類(aまたはb)の写し:a マイナンバーカード b マイナンバー通知カードまたはマイナンバーが記載されている住民票+運転免許証やパスポートなどの本人確認書類
- 建物・土地の登記事項証明書:法務局から入手する。住宅ローンを利用した銀行から写しをもらうこともできる
- 建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し:不動産会社と契約した書類
- 源泉徴収票:勤務先から入手
- 住宅ローンの残高を証明する「残高証明書」: 住宅ローンを借入した金融機関から送付される
- (一定の耐震基準を満たす中古住宅の場合)耐震基準適合証明書又は住宅性能評価書の写し:契約した不動産会社から入手
- (認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の場合)認定通知書の写し:契約した不動産会社から入手
これらの書類のうち、「確定申告書(A)」と「特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」は自分で記入しなければなりません。
特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書の作成方法
確定申告書を作る前に、まずは住宅借入金等特別控除額の計算明細書を作成する必要があります。
計算明細書には一面と二面があります。
まずは一面の作成方法から解説していきます。
①.住所及び氏名
左側に自分の住所および氏名を記載します。住宅に共有者がいる場合には右側の欄に共有者の住所・氏名を記載します。
②.新築又は購入した家屋等に係る事項
居住年月日、家屋の取得価格、土地の取得価格、総面積(家屋・土地それぞれ)、居住部分の面積(家屋土地それぞれ)を記載します。
③.家屋や土地等の取得対価の額
土地と家屋の取得対価をそれぞれ記入します。
共有者がいる場合には、自分の持分の比率とその持分に応じた自分の持分の土地と家屋の金額を記入します。
(共有者がいない場合には②の金額を転記すればOK)
④.居住用部分の家屋又は土地等に係る住宅借入金等の年末残高
住宅ローンで借りた資金が住宅のみの購入であれば「住宅のみ」の部分へ、土地のみの購入であれば「土地のみ」の部分へ、住宅と土地両方を購入するために借りたのであれば「住宅及び土地等」の欄に金額を記入します。
金額は銀行から送付されてくる「住宅ローン残高証明書」の金額を転記します。
ここに居住割合を乗じて「居住用部分に関する住宅借入金等の年末残高」を求めます。
最後に「住宅借入金等の年末残高の合計額」を求めます。
上記の記入例では住宅ローンは「住宅及び土地等」しかないので、「住宅借入金等の年末残高の合計額」の金額は「住宅及び土地等」の金額がそのまま転記されています。
⑤住宅借入金等特別控除額
計算書の二面の⑦の欄で計算した金額を転記します。
一般的に計算書の二面で使用する欄は上記の⑥と⑦の欄だけです。
⑥で一面で求めた住宅ローン残高を転記して、⑦で「⑥の残高」×0.01で住宅ローン控除を受けることができる金額を求めます。
⑦で求めた金額は、一面の⑥に転記を行い、計算書の記入は完成です。
次回は、確定申告書(A)の作成方法について詳しく解説していきます。