住宅ローンを利用している人の多くが、借入当初に予定していた最終期限を前倒しして住宅ローンを完済しています。
これは繰り上げ返済を定期的に行うことで、最終期限を縮めているためです。
住宅ローンは借入時の年齢が若いときの収入に基づいて完済までの返済計画が決まっています。
しかし、年齢とともに年収も上がっていくのであれば、余剰金を繰り上げ返済に回すことで最終期限を短縮することが可能です。
繰り上げ返済によってどの程度の期限を短縮できるのかシミュレーションしていきましょう。
繰り上げ返済で返済期間を短縮できる
繰り上げ返済とは、毎月の決まった返済額とは別に余剰資金を返済することです。
この際に「毎月の返済額を軽減する方法」と「返済期限を短縮する方法」を選択することができますが、最終期限を短縮する方法を選択することによって期限を短縮することが可能です。
高齢まで返済が残るのは大変
高齢になってまで返済が残るのは非常に大変です。
総務省の家計調査によると、2019年の高齢夫婦の実収入は237,659円に対して支出は270,929円となっています。
高齢になっても月額33,000円以上の赤字になっているのが実情です。
これが一時期話題になった老後2,000万円問題ですが、ただでさえ生活が楽ではないのに、住宅ローン返済まで重なれば生活は火の車です。
住宅ローンを借りる際には、完済時年齢が60歳の定年退職を超える場合もありますが、実際の完済を迎える際には、完済時年齢が高齢にならないよう、繰り上げ返済によって早期完済を目指す必要があります。
退職金は老後資金
「退職金で住宅ローンを完済すればいい」と考えている人も多いようです。
しかし退職金は老後資金ですので、住宅ローンの返済に安易に使うべきではありません。
老後2,000万円問題に象徴されるように、2,000万円とまでいかなくとも老後に一定のまとまった資金は必要です。
退職金で住宅ローンを完済するから老後には住宅ローンが残らないという考えは安易にすべきではありません。
繰り上げ返済時に期間短縮を選択する
住宅ローンでは繰り上げ返済の際に期間短縮型と返済額軽減型を選ぶことができます。
この際に期間短縮型を選択することによって、繰り上げ返済した分だけの期間を短縮できます。
繰り上げ返済のシミュレーション
では実際に、繰り上げ返済によってどの程度返済期限を短縮できるのかシミュレーションしていきましょう。
- 借入額:3,000万円
- 借入期間:35年
- 金利:1.0%
- 繰り上げ返済時期:借入当初から10年経過時(残期間25年)
繰り上げ返済額 | 短縮できる期間 |
100万円 | 1年3ヶ月 |
200万円 | 2年5ヶ月 |
300万円 | 3年8ヶ月 |
400万円 | 4年11ヶ月 |
500万円 | 6年1ヶ月 |
このケースでは100万円繰り上げ返済するごとに1年2ヶ月〜3ヶ月程度、期間を短縮できると考えればよいでしょう。
一度にまとまったお金を返済しなくても、毎月コツコツと繰り上げ返済していくことで、確実に最終期限を短縮することができます。
「今月は〇〇ヶ月縮まった」など、成果が目に見えるので、繰り上げ返済するのも楽しくなるでしょう。
繰り上げ返済をすべきタイミング
繰り上げ返済をするべきタイミングは以下の3つです。
- 臨時収入やボーナスアップの時
- 年収が上がり毎月の生活に余裕ができた時
- 子供が独立して生活に余裕ができた時
臨時収入やボーナスアップの時
臨時収入が入ったときや、会社や自身の業績がよくボーナスが予定以上にアップした際には繰り上げ返済に回しましょう。
ある程度まとまったお金を一度に繰り上げ返済に充てることができるので、一度に長い期間の圧縮が可能です。
年収が上がり毎月の生活に余裕ができた時
昇給などによって給料が上がり、生活に余裕ができた時には繰り上げ返済に充てるとよいでしょう。
繰り上げ返済は1万円〜できるのが一般的です。
収入がアップして1万円以上の余裕ができるのであれば、コツコツと繰り上げ返済をしていきましょう。
子供が独立して生活に余裕ができた時
子供が社会人になり、生活費に余裕ができた時には余ったお金を繰り上げ返済に回すことができます。
子供が独立する50代から定年退職までの数年間はもっとも経済的に余裕があるタイミングです。
この際に老後資金を貯めると同時に、60歳までに住宅ローンを完済できるよう、計画的に繰り上げ返済を行なっていきましょう。
将来的に繰り上げ返済を考えている人へ
将来的に「年収が上がるだろうから繰り上げ返済を検討している」という方は次の2つのポイントを押さえて住宅ローンを選ぶ必要があります。
- 繰り上げ返済手数料無料の住宅ローンを選択する
- インターネットバンキングから返済できる住宅ローンを選択する
繰り上げ返済は「無料で」「気軽に」できなければ意味はありません。
繰り上げ返済を検討している人が抑えるべき2つのポイントを見ていきましょう。
繰り上げ返済手数料無料の住宅ローンを選択する
繰り上げ返済は毎月1万円というようにとにかくこまめに返済していくことがポイントです。
そのため、必ず繰り上げ返済手数料無料の住宅ローンを選択してください。
住宅ローンの中には繰り上げ返済の都度、1万円〜3万円+(税)程度の手数料が発生する商品もあります。
このような住宅ローンを借りてしまうと繰り上げ返済をする方が金銭的に損になってしまうので、必ず繰り上げ返済手数料無料の住宅ローンを選択しましょう。
インターネットバンキングから返済できる住宅ローンを選択する
インターネットバンキングから簡単に繰り上げ返済できる住宅ローンを選びましょう。
わざわざ銀行窓口で返済しなければならないのであれば、こまめに繰り上げ返済することは困難だからです。
自宅のパソコンやスマホから簡単に繰り上げ返済できる住宅ローンを必ず借りるようにしてください。