住まいのお金

住宅ローン控除

住宅ローンを組んだら住宅ローン控除という税金の優遇を受けることができます。

住宅ローン控除とは、住宅ローンの年末残高の1%が所得税または住民税から控除されるというもので、一般的に個人が受ける控除の中では最も大きな控除の1つと言えます。

ライフプランを立てる際には住宅ローン控除によって「いくらの税金が戻ってくるのか」ということも考慮すべきでしょう。

また、「住宅ローン控除期間中は繰上げ返済をしない方がいいのでは?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか?

住宅ローン控除の概要や手続きについて詳しく解説するとともに、控除期間中の繰上げ返済の是非について検証していきます。

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とは原則的に「住宅ローン年末残高の1%が10年間所得税から還付されるもの」と理解しておきましょう。

2019年の消費増税によって消費税分も還付される仕組みが加わりましたが、消費税分が還付されるだけなので以前よりも得になったわけではありませんし、この措置は期間限定です。

基本的には「住宅ローン年末残高の1%が10年間所得税から還付されるもの」と理解しておけば間違いありません。

住宅ローン控除の概要についてまずは解説していきます。

住宅ローン借入年末残高の1%が税額控除される

住宅ローン控除とは原則的に住宅ローンの年末残高の1%が10年間にわたって税額控除されるというものです。

1年間の控除額の限度は40万円(認定長期優良住宅や認定低炭素住宅の場合は50万円)です。

例えば3,000万円の住宅ローンを金利1%、返済期間30年で1月に組んだ場合の住宅ローン年末残高と住宅ローン控除額は以下のようになります。

住宅ローン年末残高 住宅ローン控除額
1年目 ¥29,210,308 ¥292,100
2年目 ¥28,340,532 ¥283,400
3年目 ¥27,462,018 ¥274,600
4年目 ¥26,574,681 ¥265,700
5年目 ¥25,678,430 ¥256,700
6年目 ¥24,773,175 ¥247,700
7年目 ¥23,858,826 ¥238,500
8年目 ¥22,935,291 ¥229,300
9年目 ¥22,002,479 ¥220,000
10年目 ¥21,060,295 ¥210,600

このケースでは1年目には源泉徴収された所得税が292,100円も還付されることになります。

もしも所得税額が控除額を下回り、控除しきれない分が生じた場合には住民税から控除される仕組みになっています。

消費増税による住宅ローン控除の特例措置

なお、消費増税に対する景気対策として、2019年10月1日~2020年12月31日の間に居住を開始した住宅に関しては11年目から13年目まで以下の金額のうち少ない金額が税額控除されます。

  • 住宅ローン年末残高×1%
  • 建物価格×2%÷3年

つまり最大でも消費税が2%増税された分と同じ金額しか還付されません。

「消費増税によって住宅ローン減税が拡充された」と政府は喧伝していますが、この拡充によってお得になるわけではなく消費税8%時に住宅を買ったことと同じになるだけです。

2021年1月1日以降の居住開始の住宅には適用されない予定になっているため、基本的には「住宅ローン年末残高の1%が10年間所得税から還付されるもの」と理解しておいて問題ないでしょう。

ただし、2021年前後に住宅を購入しようかと悩んでいる人は2020年12月31日までに居住を開始できるよう、住宅ローンを組んだ方がメリットがあります。

住宅ローン控除の手続き

住宅ローン控除を受けるためには初年度だけは税務署へ行き確定申告を行う必要があります。

2年目以降は年末調整時に会社へ提出するだけOKです。

住宅ローン控除の手続きについて詳しく解説していきます。

初年度は確定申告が必要

住宅ローン控除を受ける初年度、つまり住宅ローンを借りた年は税務署に行き確定申告を行う必要があります。

確定申告には以下の書類が必要です。

  • 確定申告書(A): 税務署から入手する。国税庁のサイトからも入手可能
  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書:税務署や国税庁のサイトから入手可能
  • 本人確認書類(aまたはb)の写し:a マイナンバーカード b マイナンバー通知カードまたはマイナンバーが記載されている住民票+運転免許証やパスポートなどの本人確認書類
  • 建物・土地の登記事項証明書:法務局から入手。住宅ローンを利用した銀行から写しをもらうこともできる
  • 建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し:不動産会社と契約した書類
  • 源泉徴収票:勤務先から入手
  • 住宅ローンの残高を証明する「残高証明書」: 住宅ローンを借入した金融機関から11月ころ送付される
  • (一定の耐震基準を満たす中古住宅の場合)耐震基準適合証明書又は住宅性能評価書の写し:契約した不動産会社から入手
  • (認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の場合)認定通知書の写し:契約した不動産会社から入手

確定申告書の書き方がわからない場合には必要書類を持参すれば事務所の職員が丁寧に教えてくれます。

2年目以降は年末調整で控除を受けられる

2年目以降は勤務先に年末調整を行うだけで住宅ローン控除を受けられます。

最初の確定申告時の後に税務署から送付される「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と、銀行から毎年11月頃に送られてくる「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を会社へ提出して年末調整を行うだけで、翌年の1月の給料を目処に所得税が還付されます。

住宅ローン控除期間中に繰上げ返済するのはあり?なし?

住宅ローン控除期間中である、借入から10年(13年)は「繰上げ返済しない方が得なのではないか?」と繰上げ返済をするかしないかで悩んでいる人も多いのではないでしょうか?

結論的に言えば、よほど借入期間が短く利息が低くなければ繰上げ返済してしまった方が得になります。

繰上げ返済によって節約できる利息額と、繰上げ返済によって失う控除額を比較していきましょう。

控除期間中でも繰上げ返済が得になる

例えば、借入期間が30年の住宅ローン(借入額3,000万円|金利1.0%)を借りた初年度に100万円を繰上げ返済した場合、完済までに節約することができる利息はおよそ157,722円です。(返済月によって異なる)

一方、繰上げ返済をしたことによって失う控除額は、10年間の合計で83,500円です。

金利や返済期間によるものの、繰上げ返済は完済までの間に負担しなければならない全期間の利息を節約することができるので、多くの場合で住宅ローン減税を受けるよりも繰上げ返済をした方が得になります。

手元にお金があるのであれば、住宅ローン控除を気にせずにどんどん繰上げ返済をした方がよいでしょう。


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