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フラット35の金利や商品トレンドが金融機関によって異なる理由|買取型と保証型の違い

フラット35は様々な金融機関で取り扱いがあります。

しかし、同じ住宅金融支援機構の商品であるはずなのに、金融機関によって商品ラインナップのトレンドが異なったり、金利が金融機関ごとに異なります。

一口にフラット35と言っても買取型と保証型という全く異なる2種類のローンに別れていますし、金利も金融機関ごとに決める裁量があります。

フラット35が金融機関ごとにトレンドが異なる理由や、各金融機関の金利の比較などを行なっていきます。

【フラット35】買取型と保証型の4つの違い

フラット35には買取型と保証型という2つの融資形態があります。

両者の違いを簡単にまとめると以下のようになります。

買取型 保証型
金融機関が融資を行ったものを住宅金融支援機構が買い取り、買い取った住宅ローンを担保とするMBS(資産担保証券)を発行し、市場(投資家)から資金を調達する 金融機関が融資した住宅ローンについて住宅金融支援機構が保証する。住宅金融支援機構は保証しか行わず融資をするのはあくまでも金融機関
    買取型では金融機関がお金を立て替えているだけ、保証型では金融機関が自己資金で融資を行うというのが大きな違いです。
    そして、買取型と保証型のフラット35には具体的に以下のような相違点があります。
  • 金利
  • 団信
  • 融資金額
  • 審査基準

買取型と保証型のフラット35の4つの違いについて詳しく見ていきましょう。

金利の違い

買取型と保証型では金利が異なります。

そして、一般的には保証型の方が買取型よりも金利が低くなる傾向があります。

そもそも、同じフラット35という住宅ローンなのに、金融機関によって金利のトレンドが異なるのはなぜなのでしょうか?

買取型では金融機関手数料部分があるから

買取型の金利の内訳は以下のようになっています。

  • MBS(資産担保証券)の利息部分
  • 住宅金融支援機構の取り分
  • 取扱金融機関の手数料

このうち、取扱金融機関の手数料は金融機関が自由に決定することができるので、低い手数料で運営することができるネット銀行はフラット35(買取型)の金利が低くなっています。

保証型では金利を自由に設定することができるから

一方、保証型は所定の保証料(保険料)さえ支払えば銀行が自由に金利を決定することができます。

そのため、金融機関によって金利は異なりますし、買取型と比べて金融機関の取り分が多いため大幅に金利を下げることもできます。

この点が保証型の方が買取型よりも金利が低くなる大きな要因です。

団信

買取型と保証型では団体信用生命保険の取り扱いも異なります。

  • 買取型:団信加入は必須ではない。加入する場合は機構団信のみ
  • 保証型:団信加入は原則必須。銀行のお得な団信に加入することができる

買取型は団信に加入しなくても借りることができます。

今やどの住宅ローンも団信加入は必須ですので、健康上の問題で団信に加入することができない唯一の住宅ローンがフラット35(買取型)と言っても過言ではありません。

一方、保証型のフラット35は銀行の融資ですので、銀行のその他の住宅ローンと同様に団体信用生命保険保険への加入は必須(銀行以外が扱う場合は必須ではない)です。

保証型では銀行の団信に加入できるので、8大疾病特約などのメリットの大きな銀行が扱う団体信用生命保険に加入することができます。

融資金額

買取型と保証型では融資金額にも大きな違いがあります。

  • 買取型:必要金額の90%以下の融資
  • 保証型:必要金額の100%以下の融資

買取型は自己資金がないと借りることができませんが、保証型は自己資金なしのフルローンでも利用することが可能です。

審査基準

買取型と保証型では審査基準も異なります。

買取型は属性の条件がほとんどありません。

返済負担率さえ満たしていれば勤続年数が浅い人やパート・アルバイトでも審査に通過できることがあります。

一方、保証型は銀行などの金融機関の厳しい基準で審査を行うので、勤続年数3年以上の正社員でないと審査に通過することは難しいでしょう。

保証型の方が審査は厳しくなる傾向があります。

買取型を扱う金融機関は多数

買取型を取り扱う金融機関は全国に多数あり、2020年4月現在で325機関となっています。

基本的には住宅金融支援機構の代理を行なっているだけで、金融機関にとってそれほど旨味はありません。

そのため、非対面でサクサク手続きができるネット銀行以外には事務コストの方が大きくなってしまうので、店舗型の銀行はフラット35(買取型)に対してほとんど力を入れていません。

フラット35(買取型)の金利が低いのはネット銀行と、ARUHIがメインになります。

地方銀行などはどこもそれほど金利は変わりません。

ネット銀行で最も低い金利であるARUHI、楽天銀行、住信SBIネット銀行の買取型(融資率90%以下、21年以上~35年以下)の2020年4月の当初優遇金利は以下の通りです。

ARUHI 楽天銀行 住信SBIネット銀行
団信加入あり 1.05% 1.30% 1.05%
団信加入なし 0.85% 1.10% 0.85%

保証型の新規受付を行う金融機関は7つだけ

保証型のフラット35は銀行の融資商品です。

2020年4月現在で保証型のフラット35の新規受付を行なっているのは以下の7つの金融機関だけです。

  • 日本住宅ローン
  • ARUHI
  • 財形住宅金融
  • 広島銀行
  • クレディセゾン
  • 住信SBIネット銀行
  • 愛媛銀行

このうち、日本住宅ローンは大手ハウスメーカー4社が共同出資して作った貸金業者で金利はそれほど低くありません。

また、財形住宅金融は、公務員や公的団体に勤務している人や財形住宅金融に出資または提携している企業の関係者しか利用することができず、両者ともあまり一般的とは言えません。

広島銀行と愛媛銀行も地方銀行ですので県外の人が利用するのは簡単ではありません。

つまり、多くの人が利用できる保証型のフラット35はARUHIとクレディセゾンと住信SBIネット銀行だけです。

3行の保証型フラット35(自己資金比率10%以上)の2020年4月の当初優遇金利は以下のようになります。

ARUHI クレディセゾン 住信SBIネット銀行
団信加入あり 0.97% 1.25% 0.97%
団信加入なし 0.72% 0.97% 取り扱いなし

買取型も保証型も低金利を実現しているARUHIと住信SBIネット銀行ですが、両者とも買取型よりも保証型の方が金利は低いトレンドであることが分かります。

低金利を希望するなら保証型、審査に自身がないのであれば買取型というように使い分けることが大切になりそうです。


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