住宅ローンを借りる時には固定金利と変動金利を選択しなければなりません。
ほとんどの人が「最も金利が低いから」という程度の理由で変動金利を選択しているのが実情です。
確かに変動金利は金利が低いですが、リスクがあるのも事実です。
金利を選択する際には、金利の低さだけでなくリスクも十分に認識して判断する必要があります。
変動金利の特徴やメリット・デメリットを解説します。
金利の特徴をしっかりと理解した上で、変動金利か固定金利を選択できるようになりましょう。
変動金利住宅ローンとは
変動金利住宅ローンの概要についてまずは解説します。
変動金利とは、その名の通り市中金利の情勢によって金利が変動する住宅ローンです。
金利が変動した場合のリスクを借主が背負うため、固定金利よりも金利が低くなります。
変動金利住宅ローンの特徴を詳しく見ていきましょう。
金利情勢によって住宅ローン金利が変動する
変動金利住宅ローンとは、金利情勢に応じて住宅ローン金利も変動していく住宅ローンです。
変動金利住宅ローンは固定金利よりも金利が低くなるのが一般的です。
金利が上がった場合の負担は銀行ではなく住宅ローンの借主が負うので、金利変動リスクを銀行が背負う固定金利住宅ローンよりも金利が低くなるのです。
金利上昇のリスクはあるが、借入当初は固定金利よりも金利が低いというのが変動金利住宅ローンの大きな特徴です。
ほとんどの銀行が年に2回金利を見直す
ほとんどの銀行は、毎年4月1日と10月1日に変動金利住宅ローンの基準金利を見直します。
金利見直し時点で金利が上昇すれば住宅ローン金利は上がり、金利が下がっていれば住宅ローンの変動金利も下がります。
返済額は5年間は変わらない
住宅ローンの金利が変動しても、ほとんどの銀行で毎月の返済額は5年間は変わりません。
返済額は変わらないので、例えば金利が上昇した場合には毎月の返済額のうち利息の支払いが大きくなり、元金の返済額が少なくなります。
金利が上昇した場合、借入当初の予定よりも元金の減りが遅くなる可能性があり、この状態を「テールヘビー」などと言います。
テールヘビーのリスクがあるのは変動金利のデメリットです。
過去最低水準を維持
変動金利は政策金利を基準に決定します。
ご存知のように、過去数年、日本の政策金利は0%もしくはマイナス金利ですので、変動金利はここ数年過去最低水準を維持しています。
上記基準金利に、銀行が独自の優遇幅を設けて住宅ローンの変動金利は決定します。
ネット銀行などでは0.4%程度で借りることができる場合もあり、変動金利はこれ以上下がることがないほど低い水準となっています。
変動金利住宅ローンのメリット
変動金利住宅ローンには以下の2つのメリットがあります。
- 借入当初の金利が低い
- 元本の減りが早い
変動金利の2つのメリットについて詳しく解説します。
借入当初の金利が低い
変動金利住宅ローンは借入当初の金利が固定金利よりも低くなります。
そのため、残高の多い借入当初の金利が低くなるという特徴があります。
「住宅ローンの借入当初は利息の支払いの方が多い」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
それは、借入残高が多いことから利息負担が大きくなるためです。
変動金利であれば、住宅ローン残高が多い借入当初から最小限の利息負担に抑えることができます。
元本の減りが早い
変動金利住宅ローンは利息負担が少ないため、借入当初の住宅ローン残高が多い時からサクサクと元金返済をしていくことができます。
退職金などで「一定程度の期間返済したら、繰上返済をしたい」と考えている人は、最初からサクサクと住宅ローン残高を減らすことができる変動金利は有効です。
変動金利住宅ローンのデメリット
変動金利住宅ローンにはデメリットが2つあります。
- 金利上昇のリスクがある
- これ以上金利は下がらない
変動金利を選ぶ場合にはデメリットも理解しておかなければなりません。
変動金利住宅ローンのデメリットについて解説します。
金利上昇のリスクがある
変動金利住宅ローンには金利上昇のリスクがあります。
前述したように、変動金利住宅ローンの金利は史上最低水準にあるので、金利がこれ以上下がる可能性よりも上がる可能性の方が高くなります。
日本が財政破綻してハイパーインフレなどになってしまったら、変動金利住宅ローンがとてつもなく高い金利になってしまうリスクは排除できません。
これ以上金利は下がらない
前述したように、変動金利でこれ以上金利が下がる可能性はありません。
銀行員などは変動金利について「金利が上がるリスクもあるが、下がる可能性もある」などと説明しますが、基本的には上がるリスクしかないと考えた方がよいでしょう。
変動金利は「借入当初は最も低い金利で借りられるが、金利が上昇するリスクがある」と考えた方が無難でしょう。
変動金利を上手に活用する方法
変動金利住宅ローンのメリットを活用し、デメリットを極力排除するには「借入当初は変動金利で借りておき、後から固定金利に変更する余地を残しておく」ということです。
変動金利との賢い付き合い方を解説します。
借入当初は変動金利で元金を減らしておく
借入当初は最も金利が低くなる変動金利で住宅ローンを借りておき、サクサクと元金を減らしておくことが有効です。
元金さえ減らせば金利が上昇しても利息負担は軽微になるので、低金利水準が続く今のうちに変動金利で早く元金を減らしておきましょう。
固定金利に変更しても優遇を受けられる住宅ローンを借りる
ただし、変動金利は金利が上昇した場合のリスクがあります。
このリスクを軽減するため、固定金利に変更しても金利優遇を受けられる住宅ローンを借りるという方法が有効です。
住宅ローンの中には、いつでも金利タイプを変更することができ、変更後も金利の優遇を受けられるという商品が多数あります。
特にこのような住宅ローンは、メガバンクや地銀などの店舗型の銀行で取り扱いが多くなっています。
変動金利のメリットを最大限享受しつつ、金利上昇のリスクを抑えたいのであれば、固定金利へ変更後も優遇を受けることができるタイプの住宅ローンで変動金利を借りることがおすすめです。