住宅ローンの借入可能額が想定よりも少なく回答された場合、資金調達額が購入価格を下回り予算不足に陥ってしまうことがあります。
このような時にはどのように対処すべきでしょうか?
- 計画のリサイズ
- 親からの援助
- 購入時期をずらす
- 借入期間の延長
など様々な方法が考えられますが、それぞれにメリットとデメリットがあるので注意が必要です。
住宅購入時に予算不足が発生した場合の対処法について解説します。
計画のリサイズ
購入する不動産を見直して、資金調達可能額に見合った住宅へと変更する方法です。
身の丈にあった買い物と考えられるかもしれませんが、メリットとデメリットがあります。
計画をリサイズする2つのメリット
計画をリサイズするメリットは2つあります。
- すぐに無理のない住宅を購入できる
- 返済計画に無理が生じない
現在借りることができる金額だけで購入できるので身の丈にあった住宅を無理なく購入でき、返済計画にも無理が生じないというのが大きなメリットです。
無理な住宅を背伸びして購入し、返済に苦しむよりも現実的な方法と言えるでしょう。
計画をリサイズするデメリット
計画をリサイズするデメリットは、将来的に住宅が使用できなくなる可能性があるという点です。
想定していた広さよりも狭い家を購入すれば、子供の部屋が足りなくなり子供が大きくなった時にプライベートな空間を維持できないなどの問題が生じます。
家族状況から考えて無理なくリサイズできるなら問題ないですが、将来的な家族状況から考えて「明らかに狭すぎる」家を購入してしまうと、「せっかく購入した家を住み替えなければならない」という状況になってしまう可能性があります。
親からの援助
親にお金があるのであれば、不足分を親に援助してもらうこともよいでしょう。
金銭的にはメリットばかりの方法に見えますが、デメリットもあるので注意が必要です。
親から援助を受ける2つのメリット
親から援助を受けることには子供にとっても親にとっても1つずつメリットがあります。
- 子供:無料で必要資金を調達できる
- 親:非課税で贈与ができる
親や祖父母が子や孫へ住宅取得資金を贈与すると「住宅取得等資金贈与の非課税」という制度の対象になります。
消費税10%の物件を購入した場合の非課税枠は以下の通りです。
- 2019年4月1日~2020年3月31日:2500万円(一般住宅)、3000万円(一定基準を満たす住宅)
- 2020年4月1日~2021年3月31日:1000万円(一般住宅)、1500万円(一定基準を満たす住宅
- 2021年4月1日~2021年12月31日:700万円(一般住宅)、1200万円(一定基準を満たす住宅)
このように2020年3月末までであれば最大3,000万円の贈与が非課税になります。
親が相続税対策に悩んでいるのであれば、親にとってもメリットのある制度です。
親から援助を受けるデメリット
親から援助を受けると、援助をした側の親が新居に介入しがちになります。
せっかくマイホームを持っても親が介入するのであれば、義理の息子や娘とすれば肩身の狭い思いをすることになってしまうでしょう。
購入時期をずらす
住宅ローンの借入可能額は申込時点の年収に大きく関係するので、購入時期を年収が上がるタイミングまでずらすことで必要な資金を借りることができる場合もあります。
こちらも「無理なく必要資金を借りることができる」よい方法のように思えますが、デメリットもあるので注意しましょう。
購入時期をずらすメリット
購入時期をずらして年収が上がった時に申込をすれば借入可能額が大きくなります。
住宅ローンの審査は「申込時点での年収」で行われるので、年収が上がった後の方が大きな金額を借りることができます。
親の援助に頼ったりリサイズをすることなく欲しい物件を買うことができる最も現実的な方法ということができます。
購入時期をずらす2つのデメリット
購入時期をずらすことにはデメリットが2つあります。
- 欲しい物件がなくなってしまう
- 完済時年齢が高齢になる
中古マンションなどを狙っている場合には、購入時期をずらせばその物件は他の人に買われてしまいます。
また、購入時期を後にすることによって、完済時年齢が上がってしまうことがあります。
例えば、65歳完済の当初の計画を5年ずらしただけで、完済時年齢は70歳になります。
現役を引退して年金収入だけになった後に住宅ローンの返済をしていくのは簡単なことではありません。
購入時期をずらす場合には退職金での完済も検討した上で借入を検討しましょう。
借入期間の延長
借入期間を延長することによって、借入可能額が多くなることがあります。
例えば、金利1%、30年ローン、毎月10万円返済の場合の借入可能額は約3110万円です。
これを5年延長し、35年ローンとした場合には借入可能額は約3540万円となり、借入可能額は400万円以上大きくなります。
住宅ローンは75歳〜79歳くらいまでの住宅ローンごとに決められた完済時年齢かつ35年以内であれば借入期限を自由に設定することができます。
この方法でも予算不足を補うことができますが、この方法もメリットとデメリットがはっきりと分かれています。
借入期間を延長するメリット
借入期間を延長すれば、今すぐに当初欲しかった住宅を購入することができます。
そして、必要金額を借りたからといって毎月の返済額が増えることもありません。
無理なく返済しつつ、必要金額を借りることができます。
借入期間を延長するデメリット
借入期間を延長したことによって、完済時年齢が75歳とか79歳になってしまうのは、老後生活に大きな不安を残すことになってしまいます。
ただでさえ、厚生年金を受け取っていても老後資金が2000万円不足すると言われるこの時代に、退職してから1000万円以上のローンが残っていたら生活は困難を極めます。
借入期間を延長する方法は、借りた当初の若いうちはいいかもしれません。
しかし、老後の生活や退職金での返済など、定年退職後の生活設計まで十分考慮してから行いましょう。
まとめ
予算不足の対処法は主に4つです。
- 計画のリサイズ
- 親からの援助
- 購入時期をずらす
- 借入期間の延長
それぞれの方法にメリットとデメリットがあります。
特に老後の生活のことまで十分考慮して、資金不足をどの方法で補うのかを検討してください。