住宅を購入する際には、住宅購入のことばかりに頭が行ってしまいがちになります。
しかし、人生では住宅購入以外にも大きなイベントはいくつもあります。
住宅購入と住宅ローン返済のことばかりでなく、ライフプラン全体で必要な支出はいくらなのか、ということを全体的に考えることが最も重要です。
そこで、人生の中ではどのようなイベントがあり、どれくらいの支出が伴うのかということを、30歳の夫婦が0歳と3歳の子供がおり、3年後に住宅購入を検討している事例を全国銀行協会のライフプランシミュレーションを利用して考えてみました。
自分に置き換えて、将来的にどのような支出が必要になるのか理解していきましょう。
住宅購入
ライフプランの中で最も大きなイベントの1つが住宅購入です。
住宅購入はほとんどの人が住宅ローンを利用しているので、住宅購入に伴い、大きく支出が増えるようなことはあまりありません。
これまでの賃貸住宅に住んでいたのであれば、家賃と同程度の返済額に収まるように住宅を購入することで、無理なく住宅ローンを返済していくことができるようになります。
1点注意しなければならないのは、住宅ローンの返済額を低く抑えるために完済時年齢を長く設定してしまうということです。
この場合には「退職金で返済すればいい」と安易に考えている人も多いようですが、退職金が30年先に予定通りに支給されるか分かりませんし、今の年金情勢であれば、退職後に貯蓄を行うことはほぼ不可能です。
- 現在の家賃と同程度
- 退職後までローンを残さない
この2つの条件を満たすことができる範囲で身の丈にあった住宅購入を検討するようにしてください。
自動車購入
ライフプランの中で最もネックになるのが自動車購入です。
年収500万円の夫、妻が扶養の範囲内で働いた場合、子供が自立するまでは毎月2〜3万円程度の貯蓄をすることしかできません。
そのため、コツコツと何年もかけて貯めたお金は自動車購入の都度消えていくことになります。
下記は10年に1回、200万円の自動車に買い換えた場合のシミュレーションです。
45歳と50歳のこの期間は、子供が大学に進学し、最も支出が増える時期です。
この時期に車を買い換えてしまうと、貯蓄がマイナスになるのでローンを利用しなければならなくなってしまいます。
子供の大学進学によって貯蓄が枯渇する時期には、車の買い換えを3年〜4年待ち、子供の自立後に好きな車を購入するなど、ある程度我慢が必要になることも覚悟しなければならないでしょう。
また、地方に行くと、夫婦それぞれで自動車を1台ずつ所有しているケースも少なくありません。
このようなケースではさらに車に対する支出が大きくなるので、中古自動車を購入するなど、車にかかる支出をできる限り抑える工夫が必要になるでしょう。
教育費
子供の教育費もライフプランの中でも大きな支出です。
私立大学に4年間通わせると授業料だけで年間120万円程度必要になります。
上記シミュレーションの場合、授業料のうち半分程度は貯蓄から補い、残りはこれまで貯蓄に回してきた分を授業料の支払いに回している計算になっています。
上記シミュレーションでは、年間60万円程度貯蓄していますので、子供の大学在学中は貯蓄をすることはできません。
逆に言えば、子供の授業料の総額の半分程度を大学入学時までに貯蓄できていれば、無理なく授業料を捻出することができると言えます。
年間120万円、合計で約500万円の授業料であれば250万円程度の貯蓄があれば授業料に関して心配する必要はないでしょう。
また、子供を自宅外通学させる場合には仕送りも必要になります。
仕送りの平均額は11万円程度と言われています。
その頃には夫の収入も増えていることが予想されますが、それでも収入が足りない場合には、妻が仕事を増やすなどして、仕送りもカバーしなければなりません。
教育費のポイントは以下の通りです。
- 授業料に必要な半分程度の貯蓄は貯めておく
- 子供の在学中は貯蓄に回してきた分も授業料の支払いに回す
- 仕送りで不足する分はパートを増やすなどして収入を増やす
旅行がライフプランを大きく悪化させる
下記は上記シミュレーションに「海外旅行に1回100万円程度かけて10年に1回行く」という予定を加えたものです。
10年に1回、旅行に100万円を使うことによって、子供が大学進学する頃には借金が1,000万円近くなってしまいます。
老後の貯蓄もほとんど残っていないので、老後資金にも大きな不安が残ってしまうことになります。
このシミュレーションのような平均的な家庭では「マイホームを購入する」「マイカーを10年に1度買い換える」「旅行に行く」というごく当たり前のような生活を送っていると、老後かなり苦労することになってしまいます。
旅行か車、どちらかは我慢すべきかもしれません。
このようにライフプランは、いつどのような支出があり、それに向けていくらの貯蓄を準備しておけばいいのかということを事前に決め、準備ができていない時の出費は控えた方がよいでしょう。