住宅ローン選びに悩んでいる人にとって、必ず耳にする住宅ローンがフラット35ではないでしょうか?
超低金利時代の今、長期間金利を固定することができるフラット35を選択することには大きなメリットがあります。
フラット35とはどのような住宅ローンなのか、概要や種類について解説していきたいと思います。
最長35年固定の住宅ローン
フラット35は最長35年固定の住宅ローンです。
超低金利時代の今、住宅ローン金利はこれ以上下がる余地がないというほどに下がっています。
そこで、超低金利である今のうちに住宅ローンの金利を長期間固定してしまうことで、今後の金利上昇に備えることができるという理由で今フラット35は非常に人気があります。
質の高い住宅購入で金利が下がる
フラット35は住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合する住宅を建築(購入)するための資金でないと借りることができません。
さらに、以下のいずれかを満たす基準の住宅建築(購入)をする場合には、金利がさらに優遇されたフラット35Sを借りることができます。
- 認定低炭素住宅
- 一次エネルギー消費量等級5の住宅
- 性能向上計画認定住宅(建築物省エネ法)
- 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)3の住宅
- 高齢者等配慮対策等級4以上の住宅(共同建て住宅の専用部分は等級3でも可)
- 長期優良住宅
(当初10年間金利引き下げの金利Aプランの場合)
フラット35を借りることができる住宅には条件がありますが、優良住宅を建築(購入)する場合にはさらに金利優遇を受けることができるメリットがあります。
自己資金が多いと金利引き下げ
フラット35は自己資金がなくても、建設(購入)資金の範囲内までであれば融資を受けることができますが、自己資金が多いと金利の優遇を受けることができます。
例えばARUHIのスーパーフラットなどでは、自己資金の割合によって最大0.1%の金利優遇を受けることができ、自己資金が3割以上の場合には借入当初10年間は0.48%(11年目以降0.68%)の金利が適用されます。
今は民間金融機関で変動金利住宅ローンを借りた場合でも0.4%ちょっとくらいの金利ですので、長期間固定金利で0.4%台の住宅ローンを借りることができるのはフラット35の大きなメリットです。
フラット35には2種類ある
フラット35は住宅支援機構という国の融資機関が融資を行う国の住宅ローンでしたが今は違います。
現在のフラット35は2種類あり、2種類とも国が住宅資金を融資するわけではありません。
2種類の違いが団体信用生命保険に大きく関係してきますので、フラット35の種類の違いをよく理解しておきましょう。
機構買取型
機構買取型とは、銀行などの金融機関が融資を行なったフラット35の債権を、住宅金融支援機構が買い取り、その債権をMBS(住宅金融支援機構債券)として金融市場に売却する仕組みです。
機構買取型のフラット35は多くの金融機関が取り扱っており、後述する保証型のフラット35と比べるとどちらかと言えばポピュラーな住宅ローンです。
機構買取型のフラット35の金利の内訳は以下のようになっています。
- MBSを購入した投資家に支払う利息
- 住宅金融支援機構が事業運営するための費用
- 取扱金融機関の手数料
機構型は団信に加入しないことも可能
機構買取型のフラット35最大の特徴は団体信用生命保険に加入しなくても良いということです。
通常、住宅ローンは借主にもしものことがった時に保険から住宅ローン残金を返済することができる団体信用生命保険への加入が必須ですので、健康上に問題があって団信に加入することができない人は借りることができません。
しかし、機構買取型のフラット35では団体信用生命保険への加入が必須ではないので、健康上の理由によって他の金融機関の団信に加入できない人でも、フラット35であれば借りることができます。
ただし、もしものことがあった場合に、残された家族に住宅ローンの返済が残ってしまうことは覚悟しなければなりません。
機構団信にしか加入できない
機構買取型のフラット35は団体信用生命保険に加入することもできます。
しかし、加入することができる団体信用生命保険は機構団体信用生命保険という住宅金融支援機構の団体信用生命保険だけになります。
機構団信は、死亡保証だけで金利+0.2%、3大疾病特約をつけるとさらに+0.24%に金利が上乗せされます。
民間銀行の団信は死亡保証だけなら金利上乗せはないので、この点は機構団信のデメリットと言えます。
保証型
保証型のフラット35は金融機関が融資をするフラット35を住宅金融支援機構を引受人とする住宅融資保険を付ける仕組みとなります。
つまり、金融機関の融資を住宅金融機構が保証するようなイメージですので、保証型のフラット35の融資をするのは金融機関で、住宅金融支援機構は保証を行うだけという仕組みです。
保証型のフラット35では、融資の原資は金融機関の自己資金もしくは預金ということになります。
保証型のフラット35の金利の内訳は以下の通りです。
- 銀行が得る利息
- 住宅金融支援機構へ支払う住宅融資保険の保険料
保証型は団信加入必須
保証型のフラット35は金融機関の預金や自己資金を融資するため、金融機関の住宅ローンと同じように、団信加入は必須です。
そのため、健康上の理由によって団信に加入することができない場合には保証型のフラット35を借りることはできません。
銀行のお得な団信に加入できる
保証型のフラット35の最大のメリットは、金融機関のお得な団信に加入することができるという点でしょう。
例えば住信SBIネット銀行のフラット35(保証型)では、上乗せ金利なしで死亡保証と8大疾病特約がついた団信に加入することができますし、ARUHIも保証型団信は生活習慣病やワイド団信(団信の審査がゆるいので持病がある人でも加入できることもある)なども充実しています。
機構団信の保証が充実していない上に特約保険料の金利上乗せ分が高いことと比較すると、団信は機構型よりも保証型の方が充実しています。
金利は低いが自己資金がないと借りられない
保証型のフラット35は機構買取型のフラット35よりも金利が低く設定されています。
それは、保証型のフラット35は自己資金が1割以上ないと借りることができないためです。
自己資金が多ければ金利は下がりますが、自己資金がない人は機構買取型のフラット35を選択するしかありません。
フラット35は金融機関によって金利が異なる
前述したように、フラット35の金利には様々な内訳があります。
このうち、機構買取型の「金融機関の手数料」部分と、保証型の「金融機関の利息収入」部分に関しては、金融機関独自で決めることができます。
そのため、フラット35という同じ名前の商品でも取り扱い金融機関によって金利が異なるのです。
また、保証型のフラット35の方が、買取型のフラット35よりも銀行の取り分が大きいので、その分銀行は金利を低くすることができ、一般的には機構買取型よりも保証型のフラット35の方が金利が低くなります。
フラット35はほとんどの金融機関で取り扱いがありますが、自己資金、団信の有無などに合わせて、最適なフラット35を探してみてはいかがでしょうか。