住宅の暖房として「薪ストーブ」を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。揺らめく炎を囲みながら家族の団らんは、個性的なスタイルと温もりのある暮らしが楽しめそうです。しかし、高断熱・高気密の住宅で薪ストーブを取り入れいるのは安全なのか、または換気の面などで不安に思っている方も少なくありません。そこで今回は、薪ストーブのメリットや注意点などについてご紹介していきます。
薪ストーブのメリットとは?
薪ストーブは、その容姿そのものがインテリアのひとつにもなるデザイン性があります。独特の存在感があり、たとえ火を灯していなくとも、おしゃれな雰囲気が演出できることがメリットのひとつでしょう。
また、本体の天板では料理をすることも可能で実用性にも優れています。じっくりと時間をかける煮物料理は薪ストーブの得意とするところですね。燃料となる薪が準備できれば、電気や灯油、ガスなどの光熱費がかからない点も魅力的です。風が起こらない輻射熱ですから、体の芯まで暖まり、寒い地域でも十分に暖を取ることができます。
薪ストーブを採用するときの注意点
暮らし方に変化を与えてくれる薪ストーブですが、採用するときには事前に次のような点に注意する必要があります。
暖まるまで時間が必要
一般的な暖房器具と違い、薪ストーブはスイッチひとつで運転できるものではありません。薪に火を灯し、燃焼させて暖まるまで少し時間が必要です。ストーブの前だけならすぐ暖まりますが、住宅全体が暖まるには1~2時間程度かかることもあります。エアコン暖房を補助的に利用することも検討しておくと安心です。
薪の確保
薪の確保は、薪ストーブを利用する上でなくてはならないものです。とはいえ、薪は近くのスーパーなどで手に入るものではないため、薪を入手する手段がなければ購入することになります。また、薪は少なくとも1シーズン以上のストックをしておくのが一般的です。薪をストックできるスペースの確保も必要です。ストック場所に悩むケースもありますから、事前にしっかりと計画しておきましょう。
間取りの工夫
薪ストーブを全館暖房として利用するつもりなら、ストーブの暖気が上る空間や煙突の配置など、効果的に熱が循環するような間取りの工夫が大切です。薪ストーブには煙突が付き物ですが、少し触れられる程度の温度の煙突仕様になっていることが多く、吹き抜けを介して屋根まで煙突を延ばすことで、2階部分にも柔らかな暖気が期待できます。また、1階で暖められた空気は自然と2階に上昇していきますので、2階ではサーキュレーションを運転させて、暖気を下ろす仕組みにすれば、効率的に全館暖房システムが取り入れられるでしょう。
ペットや子供のバリケード
昔の薪ストーブと違い、現在の製品は密閉度が高く安全に作られていますが、火を燃焼させているため本体の温度は高くなります。ペットや小さな子供が誤って触れることがないように、バリケードなどを準備しておくことが必要です。また、薪ストーブを設置するときは、ある程度、ストーブと寛ぎの場所とのスペースにゆとりを持った間取りがおすすめです。
まとめ
寒い季節は、家族と団らんしながら揺れる炎を見つめる・・・。薪ストーブは「ゆらぎ」による癒し効果も期待できる暖房で、憧れを持つ人も少なくありませんが、燃料となる薪の確保がもっとも大切です。樹種によっても燃焼の仕方に違いがあり、ストーブ本体以外にも事前に調べておくことがさまざまあります。憧れだけで採用すると管理が負担になり後悔することもありますので、きちんと使いこなせるか予習をしっかり行うことをおすすめします。