中古住宅を購入する際には契約時と引渡し時に代金を支払うタイミングが分かれます。
中古住宅購入時にはどんなタイミングでいくらの代金を支払うのか、詳しく解説していきます。
売買契約締結時に手付金を支払う
住宅を購入する際には、宅地建物取引士が重要事項説明書の説明を行います。
ここで重要事項について不明点や疑問があるのであれば、このまま契約せずに何でも質問し、確認しておきましょう。
重要事項について確認したら、売買契約書に売り手と買い手の双方が署名捺印をして、手付金を支払います。
手付金には次の3つの種類があります。
- 解約手付:買主の事情で手付金を放棄することで、契約を解除できる
- 違約手付:売主の事情で契約を解除する際、手付金を買主に返還し、さらにその倍の金額を支払うことで契約を解除できる
- 証約手付:売買契約などが成立したことを示すために支払う手付金
一般的に中古住宅の売買では解約手付で支払われることが多く、以後、売買契約を解除したら手付金が没収されてしまうことに注意しましょう。
なお、手付金は法律によって20%以下とするよう定められています。
そのため、一般的に手付金は住宅の売買代金の5%〜10%が設定されます。
引渡し時に残金を支払う
手付金を支払い、売買契約を締結すると、不動産の引渡しの期日を決め、期日に売主と買主とが不動産の売買を行い、残金を全て支払います。
売買手続とは、資金の振り込みと同時に、売主が司法書士に不動産の権利書と委任状を渡し、即座に名義変更登記の手続きに入ることです。
これで「代金を支払ったのに名義が変更されない」というトラブルを防ぐことができます。
なお、住宅ローンを利用するのであれば、銀行にて売買手続が行われることが一般的です。
引渡し後に登記費用の精算
名義変更が完了すると、司法書士に対して登記費用の支払い等の精算を行わなければなりません。
中古住宅を住宅ローンを利用して購入する場合、次の3つの登記手続が必要です。
- 土地の所有権移転登記
- 建物の所有権移転登記
- 抵当権設定登記
それぞれの税率は次のようになります。
- 土地の所有権移転登記:1,000分の15(令和5年3月31日までの間に登記を受ける場合)
- 自己の居住の用に供するための住宅用家屋の所有権移転登記:1,000分の3(令和4年3月31日までの間に登記を受ける場合)
(長期優良住宅・認定低炭素住宅は1,000分の1) - 抵当権設定登記(以下の条件を満たし令和4年3月31日までに抵当権設定登記をする場合):1,000分の1
・自己居住用の住宅であること
・新築又は取得後1年以内に登記されたものであること
・床面積50㎡以上であること
・上記を満たさない場合:1,000分の4
土地の価格が1,000万円、建物の価格が2,000万円の住宅を3,000万円の住宅ローンを組んで購入する場合の登録免許税は次のようになります。
- 土地:1,000万円×(1,000分の15)=15万円
- 建物:2,000万円×(1,000分の3)=6万円
- 抵当権設定:3,000万円×(1,000分の4(中古住宅のため軽減税率なし))=12万円
登録免許税だけで33万円で、ここに司法書士報酬として10万円〜20万円程度かかるので、登記費用としては50万円程度を考慮しておきましょう。
住宅ローン利用時の注意点
住宅ローンを利用して中古住宅を購入する際には次の3つのポイントに注意してください。
- 住宅ローンの事前審査は契約締結前に受けておく
- 住宅ローン融資後すぐに返済が始まる
- 保証料等の諸費用が発生する
必ず事前審査をするということと、借入後すぐに返済が始めるという点、さらに保証料についても考慮する必要があります。
住宅ローン利用時の3つの注意点について解説します。
住宅ローンの事前審査は契約締結前に受けておく
住宅ローンの事前審査は必ず、契約締結前に受けておき「住宅ローンを借りることができる」ということを確認してから契約を締結しましょう。
契約締結時に支払う手付金は契約を解除した場合には返還されません。
そのため、もしも「住宅ローンを借りることができなかったから契約を解除しなければならない」という事態になった場合には、手付金を失ってしまうリスクが高くなります。
必ず事前審査で「住宅ローンを借りることができる」と確認した上で契約を締結しましょう。
住宅ローン融資後すぐに返済が始まる
中古住宅購入の場合には、注文住宅購入時のように融資金が分割で融資されるわけではありません。
引渡し後にすぐに新居へ引っ越して生活を始めることを前提としているので、売買の際に一括で融資され融資後すぐに返済がスタートします。
引っ越しが遅れてしまうと、家賃の支払いと住宅ローンの返済が被ってしまうこともあるので、住宅購入と同時に引越しの予定も計画的に立てておきましょう。
保証料等の諸費用が発生する
住宅ローンには保証料や手数料がかかります。
ネット銀行などであれば借入額×3.3%が手数料として発生し、店舗型の銀行は審査によって異なる保証料(相場は20万円〜60万円程度)が発生します。
また、金銭町費貸借契約書に貼付する収入印紙代も2万円(借入額1,000万円超5,000万円以下の場合)必要です。
これらの費用も住宅ローンに上乗せして借りることもできますが、「借入額をできる限り小さくしたい」という人は自己資金で用意しておく必要があります。
住宅ローンを利用して住宅購入をする場合には、登記費用の他にも保証料などの諸費用が必要になることを理解しておきましょう。