新築住宅を購入する際にはお金を支払うタイミングがいくつかあります。
どのタイミングでどの程度のお金を支払う必要があるのか、詳しく見ていきましょう。
手付金(保証金)
住宅の購入を決めると、売買契約を行う際に、手付金という支出が発生するのが一般的です。
手付金とは不動産の買主から売主へ支払うお金のことで、不動産の売買契約を買主が一方的に破棄しないための保証金のような意味合いで設定されています。
手付金の相場は売買代金の5%~10%となっており、20%を超える手付金を設定することは法律によって禁止されています。
例えば不動産売買契約の金額が3,000万円であれば、一般的には150万円〜300万円が手付金となり、残りを段階的に支払っていきます。
手付金は目的の違いによって次の3つの種類に分かれます。
- 解約手付:買主の事情で手付金を放棄することで、契約を解除できる
- 違約手付:売主の事情で契約を解除する際、手付金を買主に返還し、さらにその倍の金額を支払うことで契約を解除できる
- 証約手付:売買契約などが成立したことを示すために支払う手付金
一般的に、不動産売買における手付金は解約手付です。
買主は契約を解除したら手付金が没収されるので、契約を解除する可能性が低くなります。
そのため、売主は安心して不動産売買契約を進めることができます。
「手付金を支払ってから契約を解除したら手付金は戻ってこない」と頭に入れておきましょう。
引渡し時に支払うもの
不動産の引渡し時には支払うものが多数あり、主なものとしては次の費用を支払わなければなりません。
- 不動産価格の残金
- 登記費用
- 固定資産税の精算金
- ローン諸費用
新築住宅引渡し時に支払うものについて詳しく見ていきましょう。
不動産売買代金の残金
引渡し時には、不動産売買代金の残金を全額支払わなければなりません。
売買代金が3,000万円、手付金として300万円をすでに支払っているのであれば、残金の2,700万円を引き渡し時に支払う必要があります。
住宅ローンを利用して不動産を購入する場合には、引渡し日に融資を実行し、当時中に売買代金を支払い、支払いと同時に所有権移転登記の手続きを進めるのが一般的です。
登記費用
不動産を購入すると次の登記手続が必要です。
- 所有権移転登記:不動産の所有者を変更する登記
- 抵当権設定登記:住宅ローンを借りた金融機関へ保証会社の抵当権を設定する登記
税率は次のようになります。
- 土地の所有権移転登記:1,000分の15(令和5年3月31日までの間に登記を受ける場合)
- 自己の居住の用に供するための住宅用家屋の所有権移転登記:1,000分の3(令和4年3月31日までの間に登記を受ける場合)
(長期優良住宅・認定低炭素住宅は1,000分の1) - 抵当権設定登記(以下の条件を満たし令和4年3月31日までに抵当権設定登記をする場合):1,000分の1
・自己居住用の住宅であること
・新築又は取得後1年以内に登記されたものであること
・床面積50㎡以上であること
例えば、土地の価格が1,000万円、建物価格が3,000万円、住宅ローン借入額が3,000万円の場合の登記費用は次のようになります。
- 土地の所有権移転登記費用:15万円
- 建物の所有権移転登記費用:9万円
- 抵当権設定登記費用:3万円
ここに司法書士報酬が10万円〜15万円程度加わり、登記費用の合計は40万円前後になります。
登記費用の支払いは登記手続完了後にまとめて行います。
一般的には不動産の引き渡しから2週間後です。
固定資産税の精算金
不動産を売買すると、固定資産税の精算を行います。
固定資産税はその年の1月1日時点での不動産の所有者に対して1年分の税金が課税されるものです。
そのため、年の途中で不動産を売却した場合には売主が固定資産税を払いすぎていることになるので、固定資産税を日割りで精算しなければなりません。
例えば、1年間の固定資産税が30万円で、1月1日から200日後に当該不動産を売却した場合を考えてみましょう。
- 売主:200日
- 買主:165日
この割合でこの年は不動産を所有するのですから、買主は165日分の固定資産税を売主に支払わなければなりません。
30万円÷365日×165日=135,616円を買主は売主に支払うことで固定資産税の精算をします。
固定資産税の精算については、不動産の引き渡し時に行うのが一般的です。
ローン諸費用
住宅ローンを利用するち次のような諸費用が発生します。
- 保証料
- 住宅ローン実行手数料
- 収入印紙代
保証料は審査や借入金額や住宅ローンを利用する金融機関によって異なるものの、一般的には20万円〜60万円程度、住宅ローン実行手数料は0円〜5万円程度です。
また、住宅ローンの契約書に貼付する収入印紙代は借入額1,000万円超5,000万円以下で2万円です。
これらの諸費用は住宅ローン実行と同時に金融機関の口座から引き落とされます。
自己資金で用意しておくか、住宅ローン借入額に含めて住宅ローンを借りるか、いずれかの方法で支払います。
手付金を支払う前に住宅ローンの申し込みを
一般的に、住宅購入の自己資金は手付金の支払いに充てるという人がほとんどです。
手付金の支払い段階では、住宅ローンを利用しなくても手付金を自己資金から用意できるので、手付金を支払ってから住宅ローンの申し込みに来る人も少なくありません。
しかし先に手付金を支払うことは絶対にNGです。
必ず先に住宅ローンへの申し込みを行い、事前審査に通過してから手付金を支払ってください。
不動産売買契約における手付金は解約手付で支払われることがほとんどですので、万が一「住宅ローンの審査に通過できなかったから契約を解除したい」と申し出ても、契約の解除と同時に手付金が没収されてしまいます。
このようなことがないように、確実に住宅ローンを借りることができるという見込みがついてから手付金は支払いましょう。
欲しい住宅が決まったら、まずは住宅ローンへ申し込みをすることを徹底してください。