東京都には様々な住宅関連の助成金が用意されています。
増改築、転居等の様々な助成金が用意されているので、東京都内に居住する方は何らかの助成を受けることができる可能性が高いと言えるでしょう。
今回は、東京23区の住宅関連助成金について解説します。
なお、ご紹介するのは耐震関連の助成金以外とします。
23区すべての区において旧耐震基準[昭和56年(1981年)5月31日までに着工した建築物]への耐震助成金は用意されています。詳しくは各区のホームページをご参照ください。
千代田区
制度名 | 条件 | 補助額 |
次世代育成住宅助成 | 親元近居助成(区内に5年以上居住する親がいる新婚世帯・子育て世帯が対象)、区内転居助成(区内に1年以上居住している子育て世帯が対象)。総額1,500万円以上の融資を受けて取得する住宅であること。 | 世帯の人数×1万円(親元近居助成は2万円を加算)、限度額月額8万円 2年目以降は1年目の助成額から1割ずつ減額、助成期間は最大8年間。 |
人口、わずか6.6万人の千代田区では、親元への近住を促進しています。
住宅ローンを借りた場合には、世帯人数×1万円という大きな助成を受けることが可能です。
中央区
制度名 | 条件 | 補助額 |
住宅修繕等資金の融資あっせん | 住宅の修繕や木造住宅の耐震補強等をしようとする方で、その資金を調達することが困難な場合に、低利の融資が受けられるよう金融機関にあっせん | 工事費用の範囲内で、20万円から1万円を単位として700万円まで(融資) |
古い住宅を修繕するための資金を借りることができない人のために、中央区が融資を斡旋してくれます。
また、中央区では分譲マンションの維持管理支援のために耐震化アドバイザーを無料で派遣する事業も行なっています。
新宿区
制度名 | 条件 | 補助額 |
多世代近居同居助成 | 子世帯とその親世帯が、区内で新たに近居又は同居を開始する際の、初期費用(引越し代、不動産登記費用、礼金、権利金、仲介手数料)の一部を助成 | 引越し代、不動産登記費用、礼金、権利金、仲介手数料の合計額 複数世帯最大20万円、単身世帯最大10万円が上限 |
木造住宅密集地域における不燃化建替え促進事業 | 助成対象地区において、現存する木造住宅の全部を除却(取り壊し)するとともに、その敷地に新たに準耐火建築物等の住 宅を建築する不燃化建替え工事 または現存する木造住宅の除却(取り壊し)工事 |
【不燃化建替え工事に対する助成】 ○上限額 300 万円 ・昭和 56 年 5 月 31 日以前に着工されたもの ・詳細耐震診断の結果、Iw 値(構造耐震評定)が 1.0 未満の建物 ○上限額 100 万円 (上記以外の建物) 【除却工事に対する助成】 ○上限額 50 万円 |
新宿区は多世代近住に対する支援と不燃化工事の支援を行なっています。
江東区
制度名 | 条件 | 補助額 |
地球温暖化防止設備導入助成 | 区内に太陽光発電や省エネルギー設備等を導入する個人・事業者・管理組合等に対し、設置費用の一部を助成するもの | ・太陽光発電システム:1kWあたり50,000円 ・CO2冷媒ヒートポンプ給湯機:設置に要する経費の5% ・家庭用燃料電池装置:設置に要する経費の5% ・エネルギー管理システム機器(HEMS・MEMS):設置に要する経費の5% ・高反射率塗装:施工面積1平方メートルあたり1,000円を乗じた額 ・蓄電池:設置に要する経費の5% ・高断熱窓:設置に要する経費の10% ・LED照明(集合住宅の共用部分のみ):設置に要する経費の10% |
江東区は地球温暖化防止のための設備導入に対して補助を行うという少し変わった助成内容となっています。
目黒区
制度名 | 条件 | 補助額 |
雨水流出抑制施設等の助成 | 個人が所有する住宅等で雨水浸透施設の整備を行う場合は、工事費用の一部の助成 | 40万円 |
がけ地近接等危険住宅移転事業助成 | 土砂災害特別警戒区域内にある危険住宅を除却し移転する方に対して、費用の一部を助成 | 費用の100パーセント以内で上限97万5千円 |
住宅・建築物土砂災害対策改修助成 | 土砂災害特別警戒区域内にある住宅・建築物等の土砂災害対策改修工事を行う方に対して、費用の一部を助成 | 改修工事費の23パーセント以内で、上限77万2千 |
感震ブレーカー設置助成制度 | 対象地域の木造住宅に感電ブレーカーを設置する費用を助成 | 上限5万円 |
目黒区は雨や土砂災害に対する補助が充実しています。
太田区
制度名 | 条件 | 補助額 |
住宅リフォーム助成事業 | 区内に主たる事業所(本社)がある中小事業者に区が定めるバリアフリー化、環境への配慮、防犯・防災対策、住まいの長寿命化のリフォーム工事及び吹付アスベスト除去工事を発注する場合、工事費用の一部を助成 | 次のいずれか低い額に助成率10%を乗じた金額を助成(上限額20万円) 1 助成対象工事一覧表にある対象工事の標準工事費を合算した額 2 総工事費用(対象工事以外の工事費用も含めた工事に要する全ての費用(税抜) |
不燃化建替え助成 | 区が指定した防災上重要な道路沿道において、建物の整備促進を目的とし、不燃化建替え助成を実施 | 1除却加算助成:従前建築物の除却費の一部を助成 2建築助成 3仮住居・動産移転助成:上限額:仮住居費30万円 動産移転費用10万円 4住宅型不燃建築物助成 |
不燃化助成については助成の内容が4つに別れており、少し複雑ですので詳しくは大田区へ問い合わせをしてください。
世田谷区
制度名 | 条件 | 補助額 |
住まい見守り・補償サービス初回登録料補助制度 | 世田谷区に住民登録があり、世田谷区内の民間賃貸住宅に単身で入居される方が区内転居時に、入居中の安否確認と死亡時の費用補償がセットになったサービスに加入する場合、初回登録料を世田谷区が全額補助 | (A)スタンダード10,000円+税 (B)ワイド15,000円 のいずれかのコースの初回登録料を補助 |
高齢者向け住宅改修の助成 | 65歳以上の高齢者の方で、身体の状況から住宅を改修する必要がある方に、改修費の一部を助成 | 106,000円〜200,000円 (工事によって異なる) |
世田谷区では高齢者向けの住宅補助がメインになっています。
渋谷区
制度名 | 条件 | 補助額 |
立ち退きに伴う住み替え家賃補助制度 | 取り壊しなどにより立ち退きを求められていて、現在住んでいる民間賃貸住宅などから民間賃貸住宅へ区内で転居する必要がある、高齢者・障害者・ひとり親世帯に、住み替え後の家賃・転居一時金の一部を補助 | 家賃・転居資金の一部 |
水洗トイレの改造費助成 | くみ取り式便所を水洗トイレに改造する場合、条例に基づき費用を助成 | 基準工事費内の工事であれば自己負担なし |
家賃の助成(住居確保給付金) | 離職によって住居を喪失、または喪失するおそれのある人に就労支援とともに、3か月間の家賃助成を行う | 家賃3ヶ月分 |
渋谷区は家賃補助などの制度が充実しています。
中野区
制度名 | 条件 | 補助額 |
介護保険住宅改修 | 要介護認定・要支援認定を受けた方が、下記の対象となる住宅改修をされたときに、住宅改修費の支給を行う | 上限20万円 |
自立支援住宅改修等給付事業 | 身体機能の低下などにより日常生活に支障のある高齢者に対し、住宅の浴室等の改修や日常生活用具の給付を行う | 50,500円〜200,000円 (工事によって異なる) |
固定資産税・都市計画税の都税の減免 | 不燃化特区の指定範囲内で「不燃化建築物に建替えた場合の建物」や「老朽建築物除却後の土地」について、一定の要件を満たす場合、都税事務所への申請により、固定資産税・都市計画税の減免を行う | 新築した住宅に対する固定資産税・都市計画税の全額 |
中野区は要介護者などの高齢者が自宅をリフォームした場合の手当が厚くなっています。
杉並区
制度名 | 条件 | 補助額 |
高齢者等賃貸住宅改修助成事業 | アパートを所有している方が高齢者や障害者が住みやすいように、アパートのバリアフリー改修を実施した場合、費用の一部を助成 | 10万円以上(税抜き)の改修工事を行う場合、工事費用(税抜き)の50%(100万円を上限)を助成 |
雨水浸透施設工事費の助成 | 浸水被害の軽減、地下水のかん養、緑勢の回復等を図るために、雨水浸透施設(浸透ますと浸透トレンチ)を設置される方に工事費を助成 | 上限40万円 |
高床化工事の助成 | 台風や集中豪雨などの降雨により、床上浸水など被害が発生するおそれのある地域を対象に、家屋の浸水被害の防止と軽減を図るため、住宅を高床にする工事費用の一部を助成 | 上限200万円 |
防水板設置工事の助成 | 区内における家屋の浸水被害の防止または軽減を図るため、住宅の地下出入口などに防水板を設置する場合、工事費用の一部を助成 | 上限50万円 |
環七環八沿道騒音助成 | 環状七号線、環状八号線の沿道で一定の要件を満たす住宅を対象に、防音工事にかかる費用の一部を東京都が助成 | 東京都が審査した額の4分の3 |
杉並区は防水関係のリフォーム補助が充実しています。
豊島区
制度名 | 条件 | 補助額 |
豊島区エコ住宅普及促進費用助成金(一般住宅向け) | 地球環境の保全を目的とし、地球温暖化の進行に影響の大きいCO2削減に配慮した、住宅用の新エネルギー・省エネルギー機器等を導入する方に対し、設置にかかる費用の一部を助成 | 上限10万円 (助成対象機器によって異なる) |
住宅修繕・リフォーム資金助成事業 | 豊島区内の住宅の修繕工事及びリフォーム工事について、助成金を交付 | 助成対象工事に要した経費(消費税を除く)の30%以内で、修繕工事は10万円が限度で、リフォーム工事は20万円が限度 |
セーフティネット住宅に対する補助制度 | 豊島区のセーフティネット専用住宅の所有者等に対して家賃等を補助 | 家賃低廉化補助:月額3万円 家賃債務保証料低廉化補助:1万5千円 少額短期保険料保険等補助:6,000円 住宅改修費補助:改修費の2/3で上限100万円 |
豊島区はエコ住宅やセーフティネット住宅などの高機能住宅に対する補助が充実しています。
練馬区
制度名 | 条件 | 補助額 |
木造戸建住宅の簡易補強工事の助成 | 木造の戸建住宅を対象に、上部構造評点(Iw値)が0.7相当以上となる簡易補強工事に対して、住宅の耐震改修助成よりも多少条件を緩和して、その費用の一部を助成 | 助成率 3分の2 限度額50万円 |
耐震シェルター・防災ベッド設置の助成 | 耐震シェルターや防災ベッドの設置に対して助成 | 費用の9割かつ限度額50万円 |
練馬区の補助は耐震関係がメインとなっています。
シェルター設置に補助を出すという珍しい取り組みを行なっています。
足立区
制度名 | 条件 | 補助額 |
足立区住宅改良助成制度 | 自己居住の住宅(分譲マンション専有部分を含む)の以下に掲げる工事、または、分譲マンションの共用部分に行う段差解消工事などに対する費用の一部を助成 | 工事種類ごとの上限額、対象工事費(消費税抜)の20%を比較して一番安価な額で最大30万円 |
工事種類によって助成を受けることができる金額は大きく異なるので詳しくは足立区へ確認してください。
江戸川区
制度名 | 条件 | 補助額 |
マンションアドバイザー制度利用助成 | 東京都防災・建築まちづくりセンターが実施する「マンション管理アドバイザー制度」又は「マンション建替え・改修アドバイザー制度」を利用する管理組合等に対して派遣費用を助成 | 派遣料の3分の2 |
住宅リフォーム資金融資あっせん制度 | 住宅の修繕、模様替え等リフォームをする際に、江戸川区が窓口となり、工事に必要な資金融資について取扱金融機関へあっせんする制度です。 | 低金利融資を江戸川区が斡旋 |
江戸川区はマンションに関する助成がメインになっています。
港区
制度名 | 条件 | 補助額 |
エレベーター安全装置等設置助成事業 | 区内の建築物に設置されているエレベーターに安全装置等をUCMP設置する修繕工事を行うために要した費用の一部を港区が助成 | 最大300万円 |
港区ではエレベーターの安全装置設置を促進しており、上限300万円の大きな補助を受けることが可能です。
文京区
制度名 | 条件 | 補助額 |
特定緊急輸送道路沿道建築物耐震化促進事業助成 | 特定緊急輸送道路沿道建築物が対象。建替の助成を行う。 | 既存建築物の除却に要する費用について耐震改修に要する費用を限度に助成。 |
文京区は本郷通り、旧白山通り、春日通り、蔵前橋通り、目白通りなどの特定緊急輸送道路として指定されている道路が多い地域です。
これらの道路沿いに位置する建物を耐震化する場合には100%の補助を受けることが可能です。
台東区
制度名 | 条件 | 補助額 |
フラット35子育て支援型 | 台東区三世代住宅助成」を利用する方が、「フラット35」(独立行政法人住宅金融支援機構)にて融資を受ける場合 | 当初5年間0.25%金利を優遇 |
三世代住宅助成 | 幅員50cm以上の歩道状空地、住戸専用面積70m2以上、居室4室以上、高齢者に配慮した住宅等を満たした住宅を建築し、親と子と孫が同居する場合 | 120万円 |
安心助成 | 準防火地域内(不燃化特区の谷中2、3、5丁目地区を除く)に、建築基準法の規定よりも耐火性能を向上させた、準耐火または耐火構造の建築物で、延べ面積50m2以上の一戸建て住宅を建設し、申請者が居住する場合 | 240万円 |
台東区はフラット35の利子補給、三世代同居支援、防火対策などで様々な住宅支援を行なっています。
墨田区
制度名 | 条件 | 補助額 |
不燃建築物建築促進助成金 | 区が定める不燃化促進区域において不燃化建築物を建築する建築主に助成金を交付 | 210万円 |
墨田区三世代同居・近居住宅取得支援制度 | 新たに親世帯と同居又は近居(親世帯の住宅から1km以内)するために住宅を取得する子育て世帯(義務教育修了前の子どもがいる世帯)に対して、住宅建設費の一部を助成する。 | 50万円 |
墨田区も火災対策に対する補助と、三世代同居に対する補助を行なっています。
品川区
制度名 | 条件 | 補助額 |
都市防災不燃化促進事業 | (a)木造建築物の解体除却費用を助成 (b)耐火または準耐火建築物の建築費用を助成 |
(a)1300万円 (b)960.3万円 |
不燃化特区支援制度 | (c)老朽建築物の解体除却費用を助成。 (d)老朽建築物を除却し、耐火・準耐火建築物を建てる際の不燃構造化費用および設計費・監理費を助成。 |
(c)1,850万円 (d)1,272.7万円 |
品川区が行うのは防火対策のみです。
所定の地域で防火対策を施した場合には助成を受けることができます。
北区
制度名 | 条件 | 補助額 |
三世代住宅建設助成制度 | 三世代(親・子・孫など)が同居し、高齢者に配慮した住宅を建設する場合に、建設費用の一部を助成 | 50万円 |
北区で三世代同居の建物を建築する場合には最大50万円の補助を受けることができます。
荒川区
制度名 | 条件 | 補助額 |
住宅建替え資金融資あっ旋事業 | 老朽住宅を除却するとともに、耐震性を満たす耐火建築物等の住宅への建替え(区内で住宅の購入)等のための住宅ローン | 利子補給率1.5% 利子補給期間10年以内 |
生けがき造成の助成 | 新しく生垣を造るにあたり、下記の助成の基準を満たす場合に造成費用の一部を助成 | 1m当り14,000円を上限 |
荒川区は生垣設置に補助を出すという珍しい取り組みを行なっています。ブロック塀を撤去し、生垣を作る場合には補助を受けることが可能です。
板橋区
制度名 | 条件 | 補助額 |
接道部緑化助成制 | 道路脇を植栽する工事や、それに伴いブロック塀等を撤去する工事に対して助成 | 高木 50,000 円/本 中木 9,000 円/本 低木 1,000 円/株 生垣 24,000 円/m ブロック塀等撤去 40,000 円/㎡ |
不燃化特区事業 | 不燃化特区における地域内の既存建物の建て替え工事助成。 | 250万円 |
板橋区でもブロック塀を除去して緑化する場合には補助を受けることが可能です。
葛飾区
制度名 | 条件 | 補助額 |
水洗便所助成金 | くみ取り便所を水洗便所に改造する際の費用を助成 | 38万円以内 |
葛飾区不燃化特区建替え助成 | 耐用年数の2/3以上経過した木造建築物の除去工事を行い、不燃化建築物を建てる工事を行う場合の助成 | 200万円 |
葛飾区でも耐火工事に対して大きな補助を受けることが可能です。
住宅が密集した東京23区内においては火災に対する対策に多くの助成が行われていることが分かります。
また、古い住宅が多く残る葛飾区では水洗便所への工事代金の助成も行なっています。