住宅を購入したり建築する場合には、登録免許税という税金が発生します。
しかし、住宅を新築した際には一定の条件を満たすことによって登録免許税の軽減措置の対象になります。
どのような条件を満たせば税率の軽減を受けることができるのか、計算方法とともに詳しく解説していきましょう。
登録免許税の軽減措置とは?
住宅取得の際には、登録免許税が軽減される措置が設けられています。
登録免許税は住宅取得の際の登記費用の中でも最も大きなコストの1つですが、住宅取得の際には税率が軽減されるので費用負担が少なくなります。
登録免許税とは
登録免許税とは、登記、登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定及び技能証明について課税される税金のことです。
不動産を購入したり建築したりする場合には、登記をしなければなりませんが、この登記を行う際には登録免許税という税金を支払わなければなりません。
住宅用家屋の登録免許税には軽減措置がある
住宅を取得した場合には、登録免許税の支払いが必要です。
それぞれ以下のような税率の適用を受けることができます。
登記の種別 | 本則税率 | 住宅の特例税率 |
所有権保存登記 | 0.40% | 0.15% |
所有権移転登記 | 2.00% | 0.3% (特定増改築等がされた買取再販住宅を取得する場合は0.1%) |
抵当権設定登記 | 0.40% | 0.10% |
- 所有権保存登記:不動産に初めて所有権と登記するための登記(建物新築時などに行う)
- 所有権移転登記:不動産の所有権を移転した時に行う登記
- 抵当権設定登記:融資を受けた際などに抵当権を不動産に設定する登記
例えば、土地を誰かから購入すれば所有権移転登記が必要になり、その土地の上に建物を新築するのであれば所有権保存登記が必要になります。
さらに、この住宅資金を住宅ローン利用で調達する場合には、抵当権設定登記が必要です。
住宅を取得する際には、これらの登記にかかる登録免許税が軽減されます。
なお、宅建業者が中古住宅を買い取り、一定の良質なリフォームを行った住宅を個人が購入した場合には、所有権移転登記の登録免許税が0.1%へと軽減されます。
登録免許税の軽減措置を受けるには?
登録免許税の軽減措置を受けるには以下の5つの条件を全て満たす必要があります。
- 住宅の持ち主が居住の用に供する家屋であること
- 住宅の新築または引渡しから1年以内に登記をすること
- 建物の床面積が50㎡以上であること
- 市町村が発行する住宅用家屋証明書を取得していること
- 中古住宅の場合は築25年を超えるマンション、築20年を超える木造一戸建等では「耐震性を有することの証明書」を添付すること
軽減措置の適用を受けるための手続きは、司法書士やハウスメーカーが行なってくれるため特別な手続きは必要ありません。
ただし、手続きを任せきりにせずに税率が低くなっているか確認するようにしてください。
登録免許税の計算方法
登録免許税の計算は「課税標準×税率」で行います。
具体的に登録免許税の計算を行なっていきましょう。
課税標準とは?
課税標準とは税金の計算の基準となる金額のことで、土地・建物の登記を行う場合の課税標準は「不動産の価額」になります。
不動産に関して市町村の固定資産課税台帳の価格がある場合は固定資産税評価額が課税標準額になりますし、固定資産税評価額がないケースでは法務局の登記官が認定した価額が課税標準になります。
また、抵当権設定登記の際の登録免許税の課税標準は抵当権金額(有担保借入額)となります。
例えば1,000万円の住宅ローンを組んで1,000万円の抵当権を設定する場合の課税標準は1,000万円です。
登録免許税の計算
それでは、固定資産税評価額1,000万円の土地を不動産会社から購入し、課税標準額3,000万円の住宅を建築するために4,000万円の住宅ローンを銀行から借りた場合の登録免許税を計算してみましょう。
登記種別 | 課税標準 | 本則税率の 登録免許税 |
住宅の特例税率の 登録免許税 |
所有権保存登記 | 3,000万円 (建物) |
3,000万円×0.4%=120,000円 | 3,000万円×0.15%=45,000円 |
所有権移転登記 | 1,000万円 (土地) |
1,000万円×2.0%=200,000円 | 1,000万円×0.3%=30,000円 |
抵当権設定登記 | 4,000万円 (住宅ローン) |
4,000万円×0.4%=160,000円 | 4,000万円×0.1%=40,000円 |