新築分譲マンションの情報を見比べていて、ずいぶん安い価格設定だと感じたら、その物件は「定期借地権付きマンション」の可能性があります。
定期借地権付きマンションは販売価格が魅力的なこともあり、一気に購入意欲が上がることも珍しくありません。ただし、物件検討の前に、普通の分譲マンションと大きく違う点があることを確認しておかなければなりません。
今回は、あまり知られていない定期借地権付きマンションの特徴と、購入のメリットについてお伝えしてみたいと思います。
定期借地権付きマンションの特徴
分譲マンション市場における定期借地権付きマンションのシェアは拡大傾向にありますが、それでも全体に占める割合は1%未満です。なかなか存在が珍しいこともあり、そういう分類の分譲マンションが存在することを、多くの人が知りません。
定期借地権付きマンションには、通常の分譲マンション購入とは異なる下記のような特徴があります。
・購入するのは建物のみ
・土地は借地で、毎月地代の支払いが必要
・土地を借りるのは50年以上の決まった期間
・期間が経過すると建物を取り壊し、更地にして返還が必要
・売却の際に土地の所有者の承諾が必要
通常分譲マンションは土地と建物両方を購入し所有権を得るのに対し、定期借地権付きマンションの土地は借地権です。土地は所有者から借り受け、地代を支払います。また、最初から一定期間が経過すると更地にして返還することが決まっているため、解体準備金の支払いが毎月必要となります。
定期借地権付きマンションの購入のメリット
価格が安い
一番の特徴は、物件価格が安いという点です。定期借地権付マンションの価格は、周辺の土地所有権付分譲マンションの7~8割ほどいわれています。例えば、周辺相場が6000万円の地域で4000万円台の物件が出れば、大変魅力的に感じるのではないでしょうか。
ただ、土地代金が必要ない代わりに、保証金や権利金などの一時金が必要です。また、毎月の地代、解体準備金も必要ですが、総じて割安となります。
価値ある土地に住める
定期借地権付マンションの土地は、価値あるものが少なくありません。それには売却はできないけれど、一定期間後に戻ってくるなら貸すことはできるという土地の存在があります。神社や公的機関、代々守ってきた特別な土地など、所有者が手放すことはできないという理由は意外と多いものです。そのような土地の中には、おおよそ市場に出ることがないような希少価値があるものも存在します。
税金の負担がない
定期借地権付きマンションの土地は所有権ではなく借地権です。したがって、納税は土地の所有者が行います。通常の分譲マンションの購入者のように、土地の固定資産税や都市計画税などの支払いは必要ありません。
老朽化による建て替え問題がない
50年以上の決まった期間を区切りとして、更地に戻して返還する定期借地権付きマンションは、老朽化による建て替え問題が起こることがありません。
まとめ
定期借地権付きマンションは、一般的によく知られている分譲マンションとは異なりますが、シンプルで分かりやすいシステムです。ただ、期限が来た時に、快適な空間に暮らすことができて満足だったと思えるか、何も残らないことに対して、支払った金額をもったいないと思うのかはその人次第といったところです。
分譲マンションを検討していると、よく分からないことがたびたび出てきます。定期借地権付きマンションという名称も、もしかしたら初めての方がいるかもしれません。わからないことが出てきて不安になった時には、ぜひモデルルームで専門家の話を聞いてみてください。「これはどういうこと?」「もし、こうなった場合はどうすればいいの?」といった疑問は、その場ですぐに解決していただけます。