身の回りのものでユニバーサルデザインと言われるものが増えてきましたが、実際にどんな物のことをユニバーサルデザインと言っているのか、バリアフリーとの違いは何なのか、具体的にどういったものなのか知らない人も多いのではないでしょうか。
最近では、ユニバーサルデザイン住宅と言われる家も出てきており、身近なものに反映されているデザインだからこそ、しっかりと理解し、良い部分を取り入れていきたいですね。
ユニバーサルデザインの原則
ユニバーサルデザインは、1980年代にアメリカのノースカロライナ州大学のロメイド・メイス博士が中心となって提唱されたもので、すべての人が使用することができるための7原則がまとめられています。
「誰でも入手できて使用することができる」
「柔軟に使用することができる」
「誰でも使い方がわかる」
「誰でも情報がわかる」
「力を必要としないで楽に使用できる」
「たとえ間違えても重大な結果に至らない」
「アクセスしやすいスペースと広さがある」
身の回りにあるユニバーサルデザインを取り入れた物は、この7原則を基に作られています。
ユニバーサルデザイン住宅って何?
まずはユニバーサルデザインについてですが、7原則をまとめると、建物や製品、環境などのデザインを、年齢、性別、障害の有無など、それぞれの状況に関係なく、すべての人が利用しやすいようにデザインしたものということになります。
その趣旨を活かし、そこに住む家族みんなが暮らしやすいように工夫された住宅のことをユニバーサルデザイン住宅と言います。
バリアフリー住宅との違い
高齢者や体の不自由な人の障害になるようなものを取り除き、社会生活を円滑に営めるように工夫したものがバリアフリー住宅ですが、ユニバーサルデザイン住宅は子供から大人、高齢者、身体の不自由な人まで、すべての人の使いやすさを配慮し、快適に生活できるように工夫された住宅になります。
ユニバーサルデザインのポイント
出入りしやすい扉
車椅子が出入りできるように、玄関や室内の建具などの開口は85cm以上を採用しましょう。
引き戸タイプの建具が誰でも開閉でき便利なのですが、最近では鍵の施錠や開錠をスイッチを押すだけで開閉できるものもあります。
動作がシンプルなため、誰でも使いこなすことができますし、ドアの隙間で子供が指を挟むような事故が起きにくくなるでしょう。
廊下の幅
車椅子が通過することができ、方向転換できるくらいの通路幅を確保すると良いでしょう。
さらに将来的に手摺を設置できるような廊下にしておくと、どんな状況にも対応できるので良いでしょう。
階段の転倒防止
階段は家の中でも怪我に繋がる事故が起きやすい場所でもありますので、小さな子供から高齢者まで安心して昇降できるように、手摺や足元にLEDライトを設置すると良いでしょう。
また、踏面の表面に滑りにくい加工がされたものを取り入れたり、素材にもこだわるといいかもしれませんね。
家事動線の確保
家事や生活の動線をシンプルに計画し、無駄な動きが無くすことで体への負担や作業量を減らすことができます。
特に毎日の家事が多いキッチンや、洗濯のための作業が発生する場所への動線はコンパクトになるように心掛けましょう。
トイレの広さを確保
立ったり座ったりする動作をサポートするための手摺は設置しておくと安心です。
他にも便器の大きさをコンパクトにすることで、空間を広く確保することができますので、車椅子や介助者の動作を楽にしてくれるでしょう。
部屋の明るさ
高齢者は老化と共に視力が落ちてきて、若者に比べ、1.5倍の明るさが必要になります。
特に階段や廊下は注意が必要で、照明器具で補っても良いのですが、窓を設置できる場所であれば自然光がたくさん取り入れられる間取りを計画すると良いでしょう。
住宅設備の自動化
住宅設備や家電をインターネットに繋ぎ、ケータイ電話や音声による遠隔操作をすることができるなど、日々、住宅設備は進化しています。
外出中でも窓のシャッターを閉めたり、エアコンや浴室の設定をしたりと、暮らしをより快適にしてくれる機能を使いこなしてみましょう。
まとめ
暮らしが快適になってきた今、街の中を良く見れば至る箇所にユニバーサルデザインを意識している場所がたくさんあるのが分かるでしょうか。
ユニバーサルデザインは高齢者や体の不自由な人だけではなく、すべての人を対象としています。
規模は違えど、家族みんなが使いやすい住宅になるようにデザインされているのが、ユニバーサルデザイン住宅です。
どんな人にも快適で、優しい空間になるような住宅造りをしたいですね。