住宅ローンの早期完済や利息負担軽減のために「繰り上げ返済」が欠かせません。
繰り上げ返済は、単に早期に住宅ローンを完済できるだけでなく、毎月返済額の軽減を図ることも可能です。
繰り上げ返済にはどのようなメリットがあるのか詳しく解説していきます。
繰り上げ返済後の2つの選択肢
繰り上げ返済を行うと、借主は繰り上げ返済後にどうするのかを以下の2つから選択しなければなりません。
- 最終期限の短縮
- 毎月返済額の軽減
まずは繰り上げ返済によってどちらを選べばどんな効果があるのかについて詳しく解説していきます。
最終期限の短縮
繰り上げ返済によって最終期限を短縮する方法です。
例えば次の住宅ローンを200万円繰り上げ返済した場合を考えてみましょう。
当初借入額 | 3,000万円 |
金利 | 1.00% |
当初借入期間 | 30年 |
繰り上げ返済時期 | 借入から10年 |
繰り上げ返済額 | 200万円 |
このケースの場合には、残期間が20年から17年11ヶ月へと2年1ヶ月短縮になります。
繰り上げ返済後も以前と同じ金額を返済していくことによって、繰り上げ返済した金額に見合う期間を短縮することが可能です。
「できる限り早く住宅ローンを返済したい」という場合には、最終期限の短縮を選択するとよいでしょう。
毎月返済額の軽減
繰り上げ返済によって毎月返済額を軽減させることができます。
先ほどと同条件で繰り上げ返済をした場合には、毎月返済額96,491円から87,294円へと10,000円弱返済額を軽減することができます。
「毎月の負担が大きいから返済額を少しでも軽減したい」という場合には、繰り上げ返済時に毎月返済額の軽減を選択しましょう。
繰り上げ返済で最終期限を延長するメリットとデメリット
繰り上げ返済によって最終期限の延長を選択した場合には、次のようなメリットとデメリットがあります。
- メリット:利息負担が大きく軽減される、高齢になって住宅ローンが残らない
- デメリット:毎月返済額は変わらない
繰り上げ返済によって最終期限を延長するメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
メリット
最終期限が短縮されるメリットは次の2つです。
- 利息負担が大きく軽減される
- 高齢になって住宅ローンが残らない
最終期限が短縮されることによって、利息の負担額は大きく軽減されます。
例えば上記の住宅ローンを200万円繰り上げ返済することによって利息負担額は417,211円減少します。
また、最終期限が短縮されれば完済時の年齢は若くなるので、高齢になって住宅ローンが残ることはありません。
デメリット
最終期限の延長を選択すると毎月返済額は据え置かれます。
せっかく繰り上げ返済を行っても毎月の返済額がそのままですので、毎月の生活費に余裕が生まれることはありません。
「生活が苦しい」という場合には、最終期限の短縮ではメリットはないでしょう。
繰り上げ返済で毎月返済額軽減するメリットとデメリット
繰り上げ返済によって毎月返済額の軽減を選択する場合には次のようなメリットとデメリットがあります。
- メリット:毎月の負担が軽くなる
- デメリット:最終期限の短縮よりも利息負担は大きくなる
繰り上げ返済で毎月返済額を軽減するメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。
メリット
毎月返済額の軽減を選択するメリットは、繰り上げ返済前よりも毎月の返済額が軽減されるという点です。
先ほどの繰り上げ返済の事例においては、繰り上げ返済することによって毎月の返済額が9,000円以上も減少しました。
「子供の学費が月10,000円程度多くなってしまう」など、毎月の支出が増えてその増加分を捻出したいという場合には、繰り上げ返済をした時に「返済額の軽減」を選択することで、必要な金額を捻出することができます。
デメリット
デメリットは最終期限の短縮を行うよりも利息の負担額は大きくなってしまうという点です。
借入期間は期限の短縮を行った場合よりも長くなるので、その分利息負担は大きくなります。
例えば、以下のケースで繰り上げ返済を行った場合の利息負担額の違いを見ていきましょう。
当初借入額 | 3,000万円 |
金利 | 1.00% |
当初借入期間 | 30年 |
繰り上げ返済時期 | 借入から10年 |
繰り上げ返済額 | 200万円 |
- 期限の短縮をおこなった場合の利息軽減額:417,211円
- 返済額の軽減をおこなった場合の利息軽減額:207,280円
毎月の返済額は軽減されますが最終期限は変わらないので、利息の負担額は20万円以上大きくなってしまいます。