栄養豊富な香味野菜のニンニクは、プランター栽培も可能です。家庭菜園でも簡単に育てられて、料理の味わいの幅を広げるニンニクを、自宅の庭やベランダで育ててみませんか？今回はプランターでニンニクを育てるコツから収穫までくわしく解説します。
ニンニクについて
ニンニクの原産地は西アジア地中海沿岸で、紀元前4500年頃から古代エジプトなどで栽培されていました。ピラミッドを作るために駆り出された労働者や奴隷が、ニンニクを食べることで苛酷な労働に耐えられた、という記録がピラミッド内に残されています。またクレオパトラも美容と健康のために好んで食べたとの説もあります。
ニンニクは寒さに強く暑さにはやや弱い野菜です。日本では青森県が国内生産量の70%を占めています。寒地向けと暖地向けの2種類があるので、近くの園芸店などで相談して、住んでいる地域に合った品種を育てると良いでしょう。
ニンニクの植え付け
植え付け時期
ニンニクの植え付けは9月下旬～11月初旬にかけての秋が植え時です。20℃前後が適温なので、秋でもまだ気温が高い時に植え付けてしまうと、病気にかかりやすくなります。
苗の選び方
ニンニクは普段料理に使っている部分を土の中に植え込んで育てます。ただし、スーパーなどで売っている食用のニンニクは、成長しにくかったり病気にかかりやすかったりするため、園芸店で購入するほうが安心です。
植え付け方法
ニンニクを1片ずつ分けて、薄皮は剥かずに植えましょう。65cmのプランターに2列になるように、株間が10cm程度、深さ5cmの穴を1列に4～5個作ります。この穴に種球の尖ったほうを上にして1つずつ入れましょう。上から土をかぶせ、手のひらで軽く押して落ち着かせてください。
栽培場所
基本的には日当たりを好みますが、植え付けから発芽までは、種球が腐らないように半日陰で涼しい場所に置きます。芽が出てきたら成長を促進するために、日光にたっぷり当てましょう。
ニンニクの日頃のお手入れ
水やり
ニンニクは乾燥に強く加湿には弱いので、土が乾いてからたっぷり水を与えましょう。冬は成長が止まるので水やりは少なめにします。
肥料
ニンニクの球根を大きくするために、12月、2月、3月に肥料を施しましょう。1回につき化成肥料20gほどを与えます。
摘蕾
摘蕾とは、花を咲かせないように花芽を摘み取ることです。花を咲かせると養分が吸収されて食用となる球根か痩せてしまうので、この摘蕾は欠かせません。葉と同じくらいの長さに花芽が大きく育つまで待って、手で引っ張ったり折ったりすると良いでしょう。摘蕾した芽は、ニンニクの芽として食べられます。
ニンニクの病害虫
病気
ニンニクがかかりやすい病気には、葉が変色するさび病やモザイク病があります。葉が病気になると球根の成育にも影響するので気をつけないといけません。過湿になると病気が発生しやすいので、水の与え過ぎに注意するとともに通気性も良くしておきましょう。
害虫
ニンニクは香味野菜なので比較的虫が付きにくいのですが、アザミウマやアブラムシが発生しやすいです。害虫が運んでくるウィルスなどが球根を傷めてしまうので、見つけ次第駆除しましょう。こまめに雑草を抜くなどして、虫の発生を抑制するのも効果があります。
ニンニクの収穫
収穫時期
ニンニクは5月下旬から6月にかけて収穫します。地上部の葉の色が8割ほど黄色になったら収穫の目安です。雨の日や雨が続いた後を避けて、晴れの日が続いた後に収穫します。収穫するときは根元の茎を持って、傷をつけないように上に引き抜いて収穫しましょう。簡単に引き抜けないときは、まだ収穫時期ではありません。
収穫後の保存
収穫後は根を切り落とし茎はついたままの状態で、軒下など雨がかからない場所で5日ほど乾燥させてください。その後は茎を切ってネットなどに入れて、室内の冷暗所か冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
まとめ
疲労回復や健康増進に大きな効能があるニンニクは、さまざまな料理の隠し味として重宝します。お住まいの地域に適した品種を選べば、気軽に家庭菜園で楽しめる野菜です。コツさえ覚えれば初心者でも育てられるので、ぜひ自分で育てたニンニクで、おいしい料理を作ってみてください！
