住宅ローンを利用すると保証料が発生するものと、保証料なしのものがあります。
民間金融機関の多くが住宅ローンを滞納した際のリスクに備えて住宅ローンに保証会社をつけており、住宅ローンには保証料の支払いが必要です。
他方、保証会社をつけない住宅ローンでは保証料は発生しない代わりに比較的高額な手数料は発生します。
保証料が必要な住宅ローンと保証料が不要な住宅ローンではどのような違いがあるのでしょうか?
住宅ローンにおける保証料の有無について詳しく比較していきます。
保証料ありの住宅ローンの特徴
保証ありの住宅ローンには次の3つの特徴があります。
- もしもの場合は保証会社が返済を立て替える
- 保証料が発生する
- 審査が比較的緩い
保証料ありの住宅ローンの特徴について詳しく解説していきます。
もしもの場合は保証会社が返済を立て替える
保証料ありの住宅ローンでは、万が一住宅ローンの返済が滞った時には保証会社が金融機関に対してローンの残金を立て替え、以後、借主は保証会社に対して返済を行います。
金融機関にとってはリスクの低い住宅ローンだと言えるでしょう。
保証料が発生する
保証会社に住宅ローンを保証してもらうためには保証料を支払わなければなりません。
保証会社は申込者のリスクを審査して、リスクの低いと判断できる人には低い保証料を、リスクが高い人には高い保証料を設定するので、多くの住宅ローンでは申し込んでみなければ保証料がいくらになるのかは分かりません。
保証料の相場は借入金額の2%程度
保証料の相場は借入金額の2%程度と言われています。
例えば3,000万円の住宅ローンを借りた場合には60万円程度の保証料が必要になるものと理解しておきましょう。
なお、保証料は借入時に一括で支払うことが基本ですが、住宅ローンの中には毎月の利息の支払いに上乗せして1ヶ月あたりの保証料を支払っていくものもあります。
審査が比較的緩い
保証料ありの住宅ローンは保証料なしの住宅ローンよりも審査が緩い傾向があります。
保証会社がついている住宅ローンは万が一のことがあっても保証会社が金融機関に対して融資残高を保証するので金融機関にとってはリスクが少ないローンです。
そのため、ある程度リスクが高い人も保証料を支払うことによって保証会社の審査に通過できる場合があります。
また、住宅ローンの中には保証会社に対して100万円以上の高額な手数料を支払うことによって、住宅ローン審査で不利な属性である個人事業主やフリーランスの人も利用できる可能性があります。
金利の低い住宅ローンの審査に落ちた人でも、保証料ありの住宅ローンであれば借りることができるかもしれません。
保証料なしの住宅ローンの特徴
保証料なしの住宅ローンは保証会社がつかないので、万が一の場合には銀行が全ての責任を負わなければなりません。
このようなローンをプロパーローンと言います。
プロパーローンの特徴として次のような点を挙げることができます。
- ネット銀行などで取り扱いが多い
- 金利が低い
- 手数料が高い
- 審査が厳しい
保証料が発生しないプロパーローンの4つの特徴についてもしっかりと抑えておきましょう。
ネット銀行などで取り扱いが多い
プロパーローンはネット銀行の住宅ローンで取り扱われることが多くなっています。
ほとんどのネット銀行住宅ローンでは、保証会社がついていません。
店舗型の銀行とは異なり、ネット銀行住宅ローンでは保証料が発生しないことが一般的です。
また、店舗型の銀行でも非常に信用がある顧客や、預金担保で住宅ローンを実行する顧客に対しては保証会社の保証をつけずにプロパー住宅ローンを実行することがあります。
金利が低い
保証料なしの住宅ローンは金利が低い傾向があります。
保証料なしの住宅ローンを取り扱うネット銀行は、店舗を持たないため管理コストがかかりません。
コストが発生しない分低金利で融資をすることができ、多くのネット銀行では店舗型の銀行よりも低金利で住宅ローンを実行しています。
手数料が高い
保証会社なしの住宅ローンは保証料がかからず金利も低いですが、手数料が高くなるのが一般的です。
ほとんどのネット銀行住宅ローンでは、住宅ローン実行手数料として『借入金額×3.3%』となっています。
仮に3,000万円の住宅ローンを借りた場合には99万円もの手数料の支払いが必要になります。
保証料ありの場合よりも、実は保証料なしの住宅ローンの方が手数料負担によってコスト高になるので注意しましょう。
審査が厳しい
保証料なしの住宅ローンは審査が厳しい傾向があります。
保証会社がつかないプロパー住宅ローンは万が一住宅ローンの返済が滞った際に、損失を金融機関が被らなければなりません。
そのため、ある程度信用度の高い人でなければ審査に通過することは難しく、基本的には保証料ありの住宅ローンよりも審査難易度は高くなっています。
保証料ありとなしの住宅ローンどちらが得?
実際に保証料ありとなしの住宅ローン、どちらにメリットがあるのでしょうか?
保証料とプロパーローンの手数料を比較した場合には、手数料の方が高くなります。
しかし金利はプロパー住宅ローンの方が低いので、保証料なしの住宅ローンの方が総負担は圧倒的に少なくなります。
次のような条件で住宅ローンを3,000万円を期間30年で借りた場合を考えてみまよう
- 保証料あり:保証料60万円、金利0.8%
- 保証料なし:住宅ローン実行手数料99万円、金利0.6%
保証料 (手数料) |
毎月返済額 | 返済総額 | 支払い利息 +保証料(手数料) |
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保証料あり(0.6%) | 600,000円 | 93,760円 | 33,753,600円 | 4,353,600円 |
保証料なし(0.8%) | 990,000円 | 91,078円 | 32,788,080円 | 3,778,080円 |
保証料なしのプロパーローンの方が利息負担が少なくなるので、保証料よりも高い手数料で住宅ローンを借りたとしても総負担額は保証料なしの住宅ローンの方が大きくなります。
負担を減らしたいのであれば、多少手数料が高くても、とにかく金利が低い住宅ローンを借りることが重要です。