住宅ローンを借りる際に固定金利にしようか変動金利にしようか悩む人は非常に多く存在します。
将来的な金利動向を正確に予測することは難しく、金融機関の担当者もメリットとデメリットを教えてくれる程度です。
そこで、実際に住宅ローンを借りている人は変動と固定をどの程度の割合で借りているのか、国土交通省の「令和元年度住宅市場動向調査」から詳しく紹介していきます。
固定金利と変動金利のメリット・デメリット
固定金利とは金利が一定期間固定されるものです。
また、変動金利とは市場の金利動向に合わせて住宅ローン金利も変動していくものになります。
まずは固定金利と変動金利のメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。
固定金利のメリット・デメリット
固定金利のメリットは「一定期間金利が固定される」という点です。
例えば、『固定10年住宅ローン』であれば、10年間は市場の金利情勢がどうであれば借入時の金利に固定されます。
そのため、将来的に金利が上昇した場合のリスクをカバーすることができます。
他方、固定金利は金利が上昇した場合のリスクを銀行が負わなければならないので変動金利よりも高い金利が設定されていることが一般的です。
借入時よりも市場の金利が上昇しなければ変動金利よりも利息負担は大きくなります。
『将来的に金利が上昇する可能性が高い』と判断した場合には固定金利住宅ローンを選択するのがよいでしょう。
変動金利のメリット・デメリット
変動金利のメリットは「借入時の金利が低い」という点です。
例え将来的に金利が上昇しても、そのリスクは全て顧客が負うので、リスクプレミアムとして金利を高く設定する必要はありません。
そのため、ほとんどの金融機関で変動金利住宅ローンは固定金利住宅ローンよりも低金利に設定されています。
しかし、変動金利は市場の金利動向に合わせて住宅ローン金利も変動するものです。
そのため、市場金利が上昇した場合には住宅ローンの金利も高くなるのがデメリットです。
『将来的に金利が下落もしくは現状維持』と判断する場合には変動金利住宅ローンを選択するのがよいでしょう。
固定と変動どちらを借りている?
では、国土交通省の「令和元年度住宅市場動向調査」から住宅ローンを借りている人は固定金利と変動金利のどちらをどの程度の割合で利用しているのか、詳しく見ていきましょう。
変動金利型が6割超
国土交通省の「令和元年度住宅市場動向調査」によると、民間金融機関で住宅ローンを利用した人のうち、実に6割超の人が変動金利型を選択しています。
平成17年度までは固定期間3年以下の固定金利住宅ローンを利用している人が最も多く4割超を占めていましたが、平成19年に変動金利が固定期間3年以下を追い抜くと、以後は変動金利住宅ローンが最も多い状態を継続し、年々変動を利用する人が増えています。
ここ数年、ゼロ金利からマイナス金利と、低金利化はさらに続いています。
それに比例するように変動金利住宅ローンを利用する人も非常に増えていることがわかります。
フラット35の割合は12%程度
国土交通省の「住宅市場動向調査」の平成30年版では、フラット35も含めた金利タイプも公表されています。
これによると、平成29年に住宅ローンを利用した人の金利タイプの割合は次のようになっています。
- 変動金利:50.7%
- 固定金利期間選択型:31.2%
- 証券化ローン(フラット35):11.9%
- 全期間固定金利型:6.2%
多くの人が利用しているイメージのあるフラット35ですが、実際に利用しているのは12%弱となっており、変動金利と比較して少ない割合となっています。
「将来的に金利が上昇するかもしれないから、市場最低水準の低金利で金利を固めてしまおう」とフラット35を選ぶ人よりも、住宅ローン残高の多い借入当初から少ない負担で住宅ローンを利用できる変動金利を選択する人が非常に多いのが実情です。
将来の金利情勢は誰にもわかりません。
現状としては、変動金利を選択する人が非常に多くなっているのは事実ですが、将来的に金利がどうなるかという点をしっかりと検討し、後悔がないよう金利タイプを選択するとよいでしょう。