「家賃と同じくらいの負担なら住宅ローンを借りてもいい」と考えている人も多いのではないでしょうか?
確かに、今家賃を支払うことができているのですから、住宅ローンは問題なく返済していくことができるはずです。
では、実際に皆どの程度の金額の住宅ローンを返済しているのでしょうか?
国土交通省の「令和元年度 住宅市場動向調査報告書」という資料から、平均的な住宅ローン返済額を見ていきましょう。
住宅ローンの返済額
住宅ローンの返済額は物件によって異なります。
新築一戸建てであれば価格が高いので住宅ローン借入額も多くなり、結果的に返済額も増えてしまいます。
他方、中古住宅は価格が安いので返済額は少なります。
物件別の住宅ローン返済額について詳しく見ていきましょう。
注文住宅の年間返済額は約132万円
国土交通省の資料によると、注文住宅の年間返済額は約132万円となっています。
ボーナス返済なしの場合、1ヶ月あたり11万円の返済です。
ボーナス時に15万円ずつ返済する場合には、毎月8.5万円の返済額となります。
毎月8.5万円程度であれば、家賃よりも安い返済額となる家庭も多いのではないでしょうか?
なお、注文住宅の場合、収入の18.4%を住宅ローン返済に充てており、多くの人がそれほど無理のない形で住宅ローンを組んでいると言えるでしょう。
分譲戸建て住宅の年間返済額は約121万円
分譲戸建て住宅の年間返済額は121万円と注文住宅よりも若干低くなっています。
1ヶ月換算で約10万円。ボーナス時に15万ずつ返済した場合は1ヶ月あたり7.6万円程度と、かなり無理のない金額で返済していくことができるのが分かります。
年収に対する返済金の平均的な割合は20.0%と注文住宅よりも高くなっています。
これは、分譲戸建て住宅の方が注文住宅よりも年収が低い人が購入しているものと考えられます。
分譲マンションの年間返済額は約131万円
分譲マンションの年間返済額の平均は、注文住宅とほぼ同じで約131万円です。
1ヶ月あたり11万円。ボーナス時に15万円ずつ返済する場合には毎月8.5万円の返済額となります。
年収に対するローンの返済負担率も18.2%と、注文住宅とほぼ変わりません。
つまり、注文住宅と分譲マンションは価格も購入者の平均年収もほぼ同じです。
年収の18%程度が130万円ほどになる人は、注文住宅と分譲マンションを好みで選ぶことができるでしょう。
中古戸建て住宅の年間返済額は約104万円
中古の戸建て住宅の年間返済額は約104万円です。
1ヶ月あたりの返済額は8.6万円程度で、ボーナス時に15万円ずつ返済した場合は1ヶ月あたり6.2万円程度になります。
中古戸建て住宅を購入している人の収入に対する返済割合は15.2%となっており、多くの人が無理なく住宅ローンを返済していることが分かります。
中古マンションの年間返済額は約94万円
中古マンションの年間返済額は約94万円と最も低くなっています。
1ヶ月あたりの返済額は7.8万円、ボーナス時に15万円ずつ返済する場合は5.3万円と非常に少ない負担で住宅を購入することができます。
また、年収に対する返済負担率も13.9%と最も低くなっています。
つまり、中古マンションを購入する人は、必ずしも年収が低いから中古マンションを選んでいるわけではなく、年収に対して返済額が占める割合が低いことから、余裕を持って生活しているケースもあると考えられます。
返済額以外にかかる費用
毎月の返済額以外にも住宅を所有すると様々な費用がかかります。
戸建て住宅にかかる費用は主に次のようなものがあります。
- 固定資産税
- 火災保険料
- 修繕費
マンションの場合には次のような費用がかかります。
- 固定資産税
- 管理費
- 修繕積立金
- 駐車場代
- 火災保険料
これらの費用は築年数や立地や面積などによって異なるので、一概にどちらが高いとか低いということを断言することはできません。
しかし、戸建ての場合は土地に対して税金がかかるので、一般的にマンションよりも高くなります。
また、火災保険もマンションよりも火災のリスクが高いので戸建ての方が保険料が高くなります。
他方、マンションの場合には、管理費、修繕費、駐車場代など戸建てでは発生しないコストがかかります。
これらを加味すると、戸建ての維持費は年間20万円〜50万円程度、マンションの維持費は30万円〜60万円程度です。
中古マンションなどは購入価格は安いものの、維持費が高くなることもあるので、住宅購入の際には購入価格や住宅ローン返済額だけでなく、維持費も考慮して購入する住宅を決定しましょう。