オクラは栄養価が高く、夏のネバネバ食材として人気があります。横に広がらないのでスペースがない場所でも育てられ、プランターで栽培するのに適した夏野菜です。初心者でも育てるのが簡単で、収穫量も多いオクラの栽培方法について詳しくご紹介します。
オクラについて
原産地はアフリカ北東部です。気温が高い地域では多年草として毎年繰り返し果実をつけますが、寒さに弱いので日本では一年草として扱われます。黄色に中央が赤の、ハイビスカスに似た美しい花を咲かせるので、実を食べるだけでなく花も観賞できるのが魅力です。朝に咲いて昼にはしぼんでしまう短命な花で、花が枯れた後に上に向かってサヤが伸びていきます。サヤの断面は星形で、切ったところからネバネバした粘り気が出できます。この粘り気には整腸作用があるペクチンが多く含まれています。また、ビタミン類も豊富なので夏バテ防止に効果がある野菜です。
2021.8.28:この記事内にて「オクラにムチンが多く含まれる」と掲載いたしましたが、「ムチンは動物粘液の主成分で、植物のネバネバ成分は別の物質。それをムチンと言うのは誤り」という指摘を受け、内容を修正しました。
オクラの植え付け
植え付け時期
オクラは高温性野菜で25〜30℃が生育に適した気温なので、苗の植え付けも十分気温が上がる5月～6月頃が最適です。種から育てる場合は4月中旬〜5月以降に種まきをします。オクラの種は皮が硬いため、一晩水に漬けてからまくと発芽しやすいです。
植え付け方法
移植を嫌うので種はプランターに直接まく方が良いでしょう。1ヵ所に3〜4粒種をまいて、発芽したら元気な株1本だけ残して後は間引きます。苗を購入した場合は、ポットから苗を出す際に根の回りの土を崩さず、根を傷つけないようにそっと取り出しましょう。65cmのプランターであれば2～3株が適量です。
栽培場所
オクラは日当たりのよい場所を好み、強い日光でも枯れません。また多少半日陰でも十分育つので、日陰の多いベランダでも栽培できます。オクラを育てるときは、風通しの良い場所に置きましょう。ただし室外機の風が当たるところは避けてください。
オクラの日頃のお手入れ
水やり
種が発芽するまで、または植えた苗が定着するまではしっかりと水やりを行います。オクラは水切れを嫌いますが、同時に過湿も苦手です。プランターの土の表面が乾いたら、鉢底から水が出てくるまでたっぷりと水やりをするようにしてください。
肥料
実が成ったら2週間に1回、ひとつまみの化成肥料を根元に与えます。オクラは肥料を吸収する力が強く、肥料が多いと成長しすぎてしまうので注意が必要です。逆に少なすぎるとつぼみができても開花しないこともあります。様子を見ながら適量を施すようにしましょう。
支柱
成長すると背丈が1ｍ以上にもなるので、ある程度の高さになったら支柱を1本立てます。支柱を立てたあとオクラと支柱を優しく紐で結んでおくと、強風で倒れる心配もありません。
摘葉
オクラの実は葉の付け根にできます。実を収穫したらそこから下の葉は全て摘み取りましょう。摘葉しておくと風通しが良くなり、さらにたくさんの実をつけてくれるようになります。
オクラの病害虫
病気
オクラがかかりやすい病気には苗立ち枯れ病やうどんこ病があります。苗立枯れ病は5月～6月頃に発生しやすく、茎の根元が茶色に変色して立ったまま枯れてしまう病気です。土壌が過湿になると発生しやすいので、適切な水やりを心掛けてください。また、うどんこ病は、葉にうどんの粉をまぶしたような白い模様が出る病気で、光合成ができなくなり生育不良になってしまいます。風通しを良くしてうどんこ病の発生を抑えましょう。
害虫
オクラにはアブラムシやフタトガリコヤガがよく発生します。アブラムシは軟らかい葉や茎について養分を吸収する害虫です。また、フタトガリコヤガは丸めた葉に巣を作る害虫です。大量発生するとあっという間に葉が食い荒らされてしまいます。害虫は見つけ次第すぐに駆除してください。
オクラの収穫
オクラの実は花が咲いたあと6日～8日ほどで収穫できるようになります。収穫のタイミングは実が6～7cmくらいに育ったときが最適です。オクラの果実は1日で1cm成長するので、少し放っておくとどんどん大きくなってしまいます。収穫量を上げるためにも小さいうちに収穫するのがポイントです。オクラにはトゲがあり茎も硬いので、手袋をしてハサミで切り取るようにしましょう。また、オクラはつぼみも食べることができ、天ぷらにするとおいしくいただけます。
まとめ
栄養価が高く、夏のネバネバ食材として人気があるオクラ。比較的簡単に育てられて収穫量も多いので、家庭菜園におすすめの夏野菜です。和え物や炒め物などさまざまな調理方法があり、星形の断面が料理のアクセントにもなるオクラを、ぜひプランターで育ててみてください。
