艶やかな紫色が美しいナスは、日本では奈良時代から親しまれてきた夏野菜です。炒め物、煮物、漬け物などさまざまな料理に活用できるナスは、家庭菜園でも簡単に育てることができます。今回はプランターを使ったナスの育て方を詳しく解説します。
ナスについて
ナスはインド東部の熱帯地域が原産で高温多湿を好み、日本の夏に適した夏野菜です。その歴史は古く、5世紀ごろにはすでに中国、アラビア、アフリカなどで栽培されていました。ナスの紫色の皮にはナスニンと呼ばれるアントシアニンが多く含まれています。このアントシアニンは眼精疲労やがん予防のほかに、悪玉コレステロールを抑え、活性酸素の攻撃を予防して老化を抑える効果が期待できます。
ナスの植え付け
植え付け時期
ナスの生育適温は28~30℃と高温で、寒さに当たると生育不良になる恐れがあります。4月中旬になると園芸店などで苗が売り出されますが、この時期はまだたまに寒い日があることも考えられるので、植え付ける時期はゴールデンウィーク頃が最適です。
苗の選び方
葉の緑が濃く厚みがあるもの、茎が太くてあまり長く伸び過ぎていないもの、苗の先端に勢いがあるもの、できれば蕾または花が付いているものを選びましょう。
植え付け方法
苗の植え付け前に、水を張ったバケツにしばらくポットごと浸してください。こうしておくと根が活性化して定着しやすくなります。株間は20cm程度とし、やや浅植えにします。植え付けた後はたっぷり水をやり、強風で倒れないように支柱で支えましょう。
ナスの仕立て方と摘果
3本仕立て
植えてしばらくすると主枝に一番花が付きます。このすぐ下の脇芽とさらにその下の脇芽だけ残して、それ以外の脇芽は全て取り除きましょう。このように主枝1本と脇枝2本の3本仕立てにすると、より多くの実が収穫できます。
敵果
一番最初になった実を大きくせずに取り除いてしまうことを摘果といいます。少しもったいないような気がしますが、こうすることで実に使われる栄養を苗の成長に回すことができるのです。きれいに咲いた紫の花も、苗が小さいうちは摘み取った方が株が大きく育ちます。
ナスの日頃のお手入れ
水やり
ナスは水を好む性質があるので、乾燥させないように管理しましょう。毎日土の状態を見て、土が乾き切る前にたっぷり水やりをしてください。夏になると気温が上昇し、さらに株もどんどん成長するので、朝夕2回の水やりが必要になってくることもあります。
肥料
ナスは「肥料喰い」と言われるほどたくさんの肥料を必要とする野菜です。植え付け後2週間ごとに化成肥料を与えてください。その際、根に肥料が直接触れると傷んでしまうので、葉が広がっているところから外側に施します。プランターの縁に近いところを目安とすると良いでしょう。
ナスの病害虫
病気
水を与え過ぎて土が過湿になると病気にかかりやすくなります。ナスがかかりやすい病気には、青枯病やうどん粉病、褐色腐敗病などがあります。葉や茎がしおれたり、葉に斑点が出たりする場合は病気に感染していることが考えられます。病気にかかった葉を取り除き、早めに薬剤をまいて対処しましょう。
害虫
ナスによく発生する害虫は、ハダニやアブラムシなどがあります。ハダニは葉の裏に、アブラムシは新芽の先に発生するので日頃からよく確認しておきましょう。とくにハダニは乾燥すると発生しやすいので、葉の裏側にも霧吹きなどで葉水を掛けてやると効果的です。
ナスの収穫
ナスの収穫時期は6月~10月上旬頃までで、かなり長期間に渡って採取できます。収穫するタイミングは、開花後15~20日前後が目安です。朝の涼しい時間帯に収穫すると日もちがよくなります。収穫するときはハサミを使って実を傷つけないように丁寧に切り取ってください。収穫最盛期は夏ですが、その頃にたくさん実を付けた株は、秋になると弱ってしまいます。おいしい秋ナスを作るために、8月上旬に枝を半分程度に剪定すると良いでしょう。
まとめ
ナスは水やりと肥料の与え方のコツをつかめば、初心者でもプランターで簡単に栽培できる野菜です。また美しい紫の花には「優美」という花言葉があり、実の収穫だけでなく花を観賞する楽しみもあります。自分で育てた新鮮なナスを使って、さまざまな料理を作ってみましょう!