住宅ローンを組む時にほとんどの方が「〇〇万円の自宅が欲しいから、住宅ローンを■■万円借りたい」と欲しい家ベースで住宅ローンの借入額を決定しています。
しかし、住宅ローンを組む際には、「いくらなら返済できるか」ということをベースに借入額を決定しないと、返済できなくなった際のリスクが非常に高くなります。
「無理のない返済額でいくらまで借りることができるのか」ということをベースに、自分の身の丈にあった住宅を選ぶ必要があります。
収入に見合った住宅の決め方を詳しく解説します。
住宅ローンの基準「返済負担率35%」は危険
住宅ローンには返済負担率という考えがあります。
返済負担率とは、住宅ローンの年間返済額が年収の何%なのかということを示す指標です。
ほとんどの住宅ローンで35%まで認められています。
しかし、実際に年収の35%もの金額を住宅ローン返済に充てるのは危険です。
例えば年収400万円の人が返済負担率35%で住宅ローンを組む場合、年間返済額は140万円になります。
年収400万円の手取りは312万円と言われているため、実際には手取り収入の半分近くが住宅ローン返済に消えてしまいます。
これでは、現実的に生活していくことは困難です。
ハウスメーカーや銀行は、返済負担率35%で計算し、「〇〇万円まで借りられる」とセールスしますが、実際に返済負担率35%で借りてしまうと、返済を継続していくことが難しくなってしまうので、返済負担率35%で借りることは避けましょう。
返済負担率20%以下で借りよう
住宅ローンを借りる時には、返済負担率20%以下で借りるようにしましょう。
通常、「家賃は収入の2割まで」と言われており、2割以下であれば無理なく生活ができるとされています。
住宅ローンも全く同じで、返済負担率20%以下で借りておけば無理なく返済ができ生活にも苦労することはありません。
例えば年収400万円の人であれば、住宅ローン年間返済額は80万円以下となるように借りましょう。
年収の20%以下でいくらの住宅ローンを借りることができるのか、ということを逆算していくのがベストです。
無理のない返済額から借入可能額を逆算する
年収の20%でいくらを住宅ローン返済額に回すことができるのかを計算したら、そこからいくらの住宅ローンを借りることができるのか、ということを逆算しましょう。
金融電卓や高度計算サイトなどで、返済額から借入可能額を簡単に逆算することが可能です。
例)
- 返済期間30年
- 返済負担率20%
- 金利1%
この条件で年収ごとの借入可能額を計算すると次のようになります。
年収 | 年間返済額 | 借入可能額 |
300万円 | 60万円 | 1,550万円 |
400万円 | 80万円 | 2,050万円 |
500万円 | 100万円 | 2,580万円 |
600万円 | 120万円 | 3,110万円 |
700万円 | 140万円 | 3,670万円 |
800万円 | 160万円 | 4,140万円 |
900万円 | 180万円 | 4,660万円 |
1000万円 | 200万円 | 5,160万円 |
上記の金額が年収ごとの無理のない借入可能額です。
上記はあくまでも返済期間30年ですので、できれば60歳で完済できるよう、借入期間も調整しましょう。
借入期間を短くすれば借入可能額は少なくなり、借入期間を長くすれば借入可能額は大きくなります。
住宅価格と借入可能額で頭金を計算する
返済負担率20%以下で無理のない借入可能額を計算したら、そこから身の丈にあった住宅価格を算定しましょう。
住宅価格=借入可能額+頭金
で計算します。
例えば、借入可能額が2,500万円、頭金が800万円用意できるのであれば、3,300万円以下の住宅を探せば、身の丈にあった住宅を購入することができます。
必要な頭金を逆算することもできる
また、借入可能額から必要な頭金を算出することもできます。
以下の事例を考えてみましょう。
- 購入希望住宅価格:4,000万円
- 借入可能額:2,500万円
- 頭金:800万円
この場合は、700万円不足しています。
数年かけて700万円貯蓄するか、親などに援助を求めるなどして不足分を調達することで希望する住宅を購入することができます。
借入可能額から「欲しい住宅を購入するためにはいくら必要なのか」を逆算することも可能です。
住宅資金が不足する時の対処法
返済負担率20%の借入可能額と手持ちの頭金で、住宅取得に必要な資金に満たない場合には、住宅ローン借入額を安易に増やすべきではありません。
次の2つの方法で対処しましょう。
- 住宅のランクを下げる
- 配偶者が働いて所得を得る
身の丈にあった住宅を購入するために、住宅のランクを下げる方法も検討しましょう。
無理をしなければ購入できないということは、その価格帯の住宅は身の丈にあっていないということです。
「年収の20%+用意できる金額」に収まるような住宅へランクを下げましょう。
また、配偶者が専業主婦などの場合には、配偶者が働くことによって世帯所得を高くすれば住宅ローン借入可能額は大きくなります。
例えば世帯年収400万円の住宅ローン借入額は2,050万円ですが、配偶者が働くことによって世帯年収が500万円に増えれば借入可能額は2,580万円へと500万円以上増加します。
配偶者が働くことによって世帯年収が増えれば、返済負担率20%以下を守りつつ住宅ローン借入可能額を引き上げることが可能です。