住宅ローンを利用することによって負担しなければならないのは利息だけと思っている人も多いのではないでしょうか?
しかし、住宅取得時には「どの住宅ローンを選ぶのか」「自己資金はどうするのか」「どの住宅を選ぶのか」によって出費が変わるものが多数あります。
せっかく低い金利の住宅ローンを組んでも、予定外の出費がかさんでしまうことも珍しくありません。
住宅ローンや住宅の選び方によって出費が変わるものを詳しく解説していきます。
どの住宅ローンを選ぶかによって費用が変わるもの
どの住宅ローンを選ぶのかによって変わるものは利息負担だけではありません。
住宅ローンによって負担が異なる出費としては以下のようなものをあげることができます。
- 借入時の諸費用
- 団体信用生命保険料
- 繰上返済手数料
- 条件変更手数料
住宅ローンに応じて出費の異なるこれら3つの費用について詳しく解説していきます。
借入時の諸費用
住宅ローンは借入時によって以下のような諸費用が発生します。
- 住宅ローン実行手数料
- 保証料
これらの費用は店舗型銀行であれば、審査によって保証料が異なるため20万円〜50万円程度となっています。
しかし、ネット銀行などでは諸費用は借入金額の3.3%となっていることが一般的で借入額に応じて諸費用の目安は以下のようになります。
- 2,000万円:66万円
- 3,000万円:99万円
- 4,000万円:132万円
諸費用は借入金額によって異なりますが、基本的にはネット銀行の方が低くなります。
ただしネット銀行の方が金利が低いので、将来的な利息負担と諸費用の合計を比較して、トータルで負担が少ない住宅ローンを選択すべきでしょう。
団体信用生命保険料
団体信用生命保険料は民間金融機関は無料ですが、フラット35は団体信用生命保険を付けることによって金利が0.2%上乗せになってしまいます。
団信の特約保険料
また、団体信用生命保険にはガンになった時の補償など様々な特約を付けることができますが、この特約保険料は銀行によって異なります。
例えば楽天銀行住宅ローンでは、がんと診断されたら住宅ローンの残高が100%保証される「100%保障がん団信」を付けるのに0.2%の金利の上乗せをしなければなりません。
また、じぶん銀行では、加入条件が緩く持病がある人でも加入できることができる「ワイド団信」を取り扱っていますが、この団信に加入するには0.3%の金利の上乗せとなっています。
このように、団信のどのような特約を付けるかによっても費用負担は異なります。
繰上返済手数料
今やほとんどの住宅ローンが繰上返済手数料無料で返済することができます。
しかし、一部の地方銀行や信用金庫の住宅ローンなどには、繰上返済の都度1万円〜3万円程度の繰上返済手数料がかかってしまうことがあるので注意が必要です。
住宅ローンを早期に返済するために最も重要になるのは、いかにコツコツと繰上返済をするかということにかかっているので、できれば繰上返済手数料無料の住宅ローンを選びましょう。
条件変更手数料
住宅ローンは変動金利から固定金利へ、固定金利から変動金利へと金利タイプを世間の金利情勢に合わせて変更することができます。
住宅ローンの中には「借入期間中、いつでも何度でも手数料無料で金利タイプを変更可能」としている商品も存在しています。
しかし、そうでない住宅ローンは金利タイプ変更の都度、1万円〜3万円程度の手数料が必要になります。
将来的な金利変動に備えて、金利タイプを変えることも検討している人は、条件変更手数料無料の住宅ローンを選択した方がよいでしょう。
自己資金の出所や住宅によって税金も異なる
また、どの住宅を選ぶのか、自己資金をどこから出すのかによって費用が異なるものもあります。
主に税金関係に大きく違いがありますが、主に違いが生じるものは以下の2つの税金です。
- 贈与税
- 不動産取得税
住宅や自己資金によって異なる2つの税金について詳しく解説していきます。
贈与税
父母や祖父母など直系尊属から住宅取得のための資金の贈与を受けた場合には、以下の金額までは非課税です。(住宅取得価格に10%消費税が課される場合)
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
平成31年4月1日~令和2年3月31日 | 3,000万円 | 2,500万円 |
令和2年4月1日~令和3年3月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
令和3年4月1日~令和3年12月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
同じ金額の贈与を受けても、住宅の種類や贈与を受けたタイミングによっては非課税の範囲を超えてしまう可能性があります。
10%〜50%もの贈与税が課せられてしまう可能性があるので、親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受ける時には非課税枠に注意しましょう。
不動産取得税
不動産を取得した時には不動産取得税という税金を支払う必要があります。
不動産取得税の税率は建物と土地でそれぞれ評価額の3%の税金を支払わなければなりません。
そのため、建物と土地の評価額の合計が5,000万円であれば150万円もの税金が必要です。
しかし、不動産取得税には軽減措置が設けられています。
新築住宅の軽減措置
以下の要件を満たす新築住宅には軽減措置が用意されています。
- 課税床面積が50㎡以上240㎡以下(戸建て以外の賃貸住宅は1戸当たりが40㎡以上)
- 個人の居住を目的とした住宅全般に適用される(セカンドハウスも含む)
上記条件を満たした新築住宅は固定資産税評価額から1,200万円の控除を受けることができます。
1200万円×3%=36万円もの節税効果があります。
中古住宅の軽減措置
中古住宅に対しても軽減措置が用意されています。
以下の1,2の条件を満たした上で3のいずれかを満たしている住宅は新築年月に応じた控除を受けることができます。
- 課税床面積が50㎡以上240㎡以下(戸建て以外のは1戸当たりが40㎡以上)
- 個人の居住を目的とした住宅全般に適用される(セカンドハウスを含む)
- 以下の内のいずれか1つ
・昭和57年1月1日以降に建築されている
・昭和56年12月31日以前に建築された場合、新耐震基準に適合していることが証明できる
・昭和56年12月31日以前に建築された場合、既存住宅売買瑕疵保険への加入が証明できる
・新耐震基準に適合しないが、入居までに新耐震基準を満たす改修を行う
これらの条件満たした住宅には以下の控除が用意されています。
新築した日 | 建物の控除額 |
1954/7/1~1963/12/31 | 100万 |
1964/1/1~1972/12/31 | 150万 |
1973/1/1~1975/12/31 | 230万 |
1976/1/1~1981/6/30 | 350万 |
1981/7/1~1985/6/30 | 420万 |
1985/7/1~1989/3/31 | 450万 |
1989/4/1~1997/3/31 | 1000万 |
1997/4/1~ | 1,200万 |
建物が古くなればなるほど、控除される金額が少なくなり、不動産取得税は高額になります。
築年数が古い建物を取得する時には不動産取得税が高くなってしまうことがあるので要注意です。