住まいのお金

住宅ローン金利の推移

住宅ローンの金利の決まり方

住宅ローンの金利の変動は銀行各行が独自の経営判断に応じて決定している側面がありますが、住宅ローン金利の元になる金利は社会の金利情勢によって変動します。

  • 変動金利:政策金利
  • 固定金利:長期金利

住宅ローンの変動金利は日銀の政策金利に連動し、固定金利は10年物国債の金利である長期金利に連動します。

まずは、変動金利や固定金利がどのように決定されるのか、詳しく解説していきます。

変動金利は政策金利に応じて変動する

住宅ローンの変動金利は、短期プライムレートという金利に加減して決定されます。

短期プライムレートとは、1年未満の短期貸出における最優遇金利のことで、各銀行は短期プライムレートに1%上乗せした金利を店頭基準金利としています。

そして、住宅ローンでは、店頭基準金利から金利優遇を行なって実際の貸出金利となっています。

短期プライムレートは日本銀行が決定する政策金利を基準に決められており、日銀が政策金利を引き上げれば短期プライムレートの金利が上昇し、引き下げれば短期プライムレートは下落します。

固定金利は長期金利に応じて変動する

一方、住宅ローンの固定金利は長期プライムレートを基準に決定しています。

長期プライムレートとは金融機関が優良企業に対して1年以上の期間で融資をする時の金利です。

そして、長期プライムレートは金融機関の5年物普通社債に基づいて決定し、5年物普通社債の金利は国債市場の金利に基づいて決まります。

つまり国債金利が上昇すれば長期プライムレートが上昇し、下落すれば長期プライムレートも下落するという仕組みになっています。

民間金融機関の住宅ローン金利推移

民間金融機関の住宅ローン金利の推移について見ていきましょう。

参考:フラット35|民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)

変動金利は2000年前後からほぼ一定

日銀は1991年に6%だった公定歩合を1993年までに1.75%まで引き下げ、さらに1995年には0.5%まで引き下げています。

以後、2000年のゼロ金利政策から2016年のマイナス金利政策まで政策金利(公定歩合)は下落の一途を辿っています。

2006年に基準貸付利率を0. 10%から0. 40%へ引き上げたことによって、変動金利も上昇していますが、その後再び金利を引き下げたことによって、変動金利の水準は以後2.475%のままです。

変動金利は政策金利に応じて変動しますが、2000年代に入ってからこれ以上政策金利を下げようがないところまで来ているため、変動金利も低い水準で一定になっています。

固定金利は下落傾向

長期金利の推移も同じように下落傾向にあります。

債券市場に合わせて変動する長期プライムレートですが、債券市場は常に変動しており、長期プライムレートもそれに合わせて変動するため変動金利と比較して激しい動きとなっています。

長引く不況によって、資金需要が減少して金利が下がり債券相場が上昇(金利の下落)したことから、変動しながらも固定金利も下落しています。

下図は過去5年間の長期金利の推移です。

参考:三井住友銀行|マーケット情報チャート

2020年7月現在の長期金利は0.01%となっており、長期プライムレートはこれ以上下がる余地はありません。

政策金利や長期金利がそもそも下がる要因がない上に、銀行間の過酷な金利競争によって、銀行による金利上乗せ分もどんどん下落している状況です。

やはり、住宅ローン金利が市場最低水準にあるということは間違いないようです。

金利が上がるとしたら

現在金利は最低水準ですが、今後金利が上昇するとしたらどのような要因が考えられるでしょうか?

政策金利が上がるとしたら海外金利の上昇

金利の上昇要因は国内景気の上昇や国内物価の上昇や海外金利の上昇などが挙げられます。

しかし国内景気の上昇や国内物価の上昇は目下の日本ではあまり考えられないでしょう。

あり得るとしたら、海外金利の上昇です。

グローバル化によって金融政策について海外と足並みをそろえなければならない場面が増えており、海外金利と国内金利が同じ動きをする傾向にあります。

ただし、今は世界中で利下げを行なっている状況ですので、やはりここ数年は変動金利の上昇はあまり考えられないというのが一般論です。

国債暴落による長期金利の上昇

日本の財政が悪化する中、国債の暴落によって長期金利が上昇するシナリオはあり得るかもしれません。

国債価格が下落すれば金利は上昇し、国債価格が上昇すれば金利は下落します。

2020年では日本の国債の47%以上を中央銀行である日銀が保有しているという異常な状況ですが、7.7%は外国人が保有しています。

今後さらに外国人の保有割合が増えた時、日本の財政に対して不安を感じる外国人が国債の売りに出れば金利が上昇する可能性はゼロではありません。

いずれにせよ、今は最低水準にある住宅ローン金利が今後数年間は大きく上昇する可能性はそれほど大きくはないでしょう。

しかし、借入期間が30年にも及ぶ住宅ローンはその期間の間に大きく金利が上昇する可能性はゼロではありません。

実際に今から30年前の住宅ローン金利は8%を超えていましたが、その時これほどの低金利になることを予想していた人は皆無だったでしょう。

将来的に金利が上昇するリスクも十分に考慮して金利タイプを選択する必要はあるでしょう。

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