初めて聞く方にとって、不動産の話はとても分かりにくいと感じるようです。身近な事柄にも関わらず、耳慣れない専門用語が使われる為、多くの方が親しみにくさを感じるのではないでしょうか。
分譲マンションについても、調べていくと知らない用語が多く出てきて不安に思ったり、面倒に感じてしまったりという方がいらっしゃるかもしれません。
初めての方は、まず「分譲マンションとはどういうものか」という基本的なことを押さえてみるといいかもしれません。特に「区分所有建物」と「専有部分」「共用部分」という言葉の内容を確認しておくと、分譲マンションがどういうものなのか、理解しやすくなります。分譲マンションを検討する時だけでなく、実際に暮らし始めてからも大いに役立つのではないでしょうか。
区分所有建物とは
分譲マンションとは、「建物の区分所有等に関する法律」に定めがある「区分所有建物」です。建物の中が構造上区分されていて、独立した部分から構成されています。その独立した各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる、とされています。
簡単に言うと、部屋ごとに所有者が異なる集合住宅のことです。もちろん部屋ごとに売買契約や賃貸契約を結ぶことも可能です。
「専有部分」とは
「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分です。区分所有権は区分所有建物の目的の部分を所有する権利です。
例えば「201号室」を購入した場合、「専有部分」は201号室の住戸内です。区分所有権を得た区分所有者が自由に使うことができる空間です。
「共用部分」とは
区分所有建物のうち、「専有部分」以外の部分を「共用部分」といい、区分所有者全員の共有、つまりマンションの所有者全員のものとなります。持ち分割合があり、通常は「専有面積の割合による共有」となっています。具体的には廊下や階段、エレベーター、エントランス、バルコニー、屋根、外壁などです。
・専用使用部分
「専用使用部分」は共用部分のうち専用使用できる部分となります。この部分を「専有部分」と思っている方が非常に多くいらっしゃいます。例えば、各戸のバルコニーやプライベートポーチ内などです。バルコニーは非常時の住民の大切な避難経路にあたり、避難はしごが設置されていることもあります。共有部分ではありますが、部屋に付随する施設ということで専用使用することができ、またそれに伴って管理する義務も発生します。
敷地について
分譲マンションの区分所有者には、全員で共有する敷地利用権があります。この敷地利用権は敷地権に基づくもので、専有部分と分離して処分できないこととなっています。そのため、専有部分を売却すれば、所有権と同時に敷地利用権も移転します。これは戸建て住宅の場合と大きく違うところです。戸建て住宅の場合、土地、建物それぞれについて所有権が認められていますので、土地と建物で所有者が違ったり、別々に売買するといったことも可能です。
まとめ
区分所有建物である分譲マンションは、所有の形が戸建住宅とは全く異なり、初めての方には難しく感じられるかもしれません。
ですが、モデルルームでパネル展示や模型を確認する際にも、こういったことが頭にあると、分譲マンション全体のイメージがつかみやすいのではないでしょうか。
分譲マンションは「〇号室」というように部屋番号を指定して契約するため、その住戸だけが自分の所有対象のように考えてしまいがちです。分譲マンションを契約するということは「専有部分」の区分所有権を得ることだけではありません。それ以外の「共有部分」についても持ち分があり、敷地利用権もあるということを、ぜひ覚えておいていただければと思います。