住みたい場所で希望の間取りや広さが見つかるとそれだけで満足してしまっていませんか?
街の中心部や駅の近くなど、利便性の良い場所で、新築より安く購入できる可能性が高いため、中古物件を購入し、リノベーションする人が増えています。また、自分の希望の地域にこれから新築マンションや戸建てが建つような空き地がないため、最初から中古物件という選択肢しかない場合もあるでしょう。
そんな中、自分の希望のエリアで、間取りも良く、イメージ通りにリノベーション出来そうな物件に出会えることは、とてもすごいことです。自分の条件は満たしていますので、この段階で物件の購入を決めてしまう人も多くいることでしょう。
しかし、リノベーションを考えている場合は、その次の段階で行う内装や構造のチェックの方が大事になってくるのです。
新築は一から設計していく為、構造、間取り、設備すべてにおいて自由に計画することができますが、中古物件の場合、自分の占有部分だからとすべて自由に変更することはできません。
変更できない部分をちゃんと把握していない場合、購入後に間取りを変更する際、計画が破たんしてしまうこともあります。自分のイメージ通りのリノベーションを行うためにも、購入前に事前チェックは必ず行いましょう。
また、壁紙の張り替えやキッチンの取り替えなど構造には全く関係のないリフォームをする場合でも、購入前に構造について把握しておくことをおすすめします。
実際に自由度の高い物件と、変更できない箇所の多い物件ですと、売却する時の値段や、求めている人の多さが違います。購入後は自分の財産になりますので、将来的な価値としてしっかり把握しておくと良いでしょう。
リノベーションするためにチェックしておきたいポイント
「直床」「二重床」の仕組み
「直床」とは、床のコンクリートスラブに直接、仕上げ材(フローリング等)を貼る構法です。
床下に空間がなく、給排水管、ガス管、電気配線などのスペースがないため、その部分だけ床スラブを下げたり、必要なところのみ床の仕上げを上げて対応しています。
通常では住戸内に床の段差が生じるのですが、マンションによっては、水回りなどの必要な部分のみ、床スラブを下げて対応し、見た目は床に段差がない仕上げにする方法を採用していることもありますので、リノベーションしようとした際に制約がある可能性があることを念頭に置いておきましょう。
しかし、「直床」のマンションも多くありますので敬遠するのではなく、構造を把握した上で間取りの検討をしてみてください。水回りの位置の変更がない場合は、居室部分には床の段差はありませんので、日々の暮らしに不便さを感じることはないでしょう。
「二重床」は簡単にいいますと、床のコンクリートスラブと、仕上げ材(フローリング等)の間に空間を作る構法です。
床スラブの上に専用の支持ボルトを立て、その上に床下地材(合板など)を乗せ、その上をフローリング等で仕上げるのですが、支持ボルトの間は空間になっていますので、その部分に給排水管、ガス管、電気配線を通します。
「直床」に比べて、手間や費用がかかりますが、住戸の床に段差はなく、配管等のメンテナンスが容易にできます。床に点検口や掃除口を設けることで、日頃からお手入れや交換ができるのもメリットでしょう。また、床下の空間で配管等を移動でき、間取り変更に柔軟に対応できるため、リノベーションに向いている構造と言えるでしょう。
「直天井」「二重天井」の仕組み
「直天井」とは、天井のコンクリートスラブに直接仕上げ材を貼って仕上げる構法です。小梁や下がり天井はそのまま見えていますので、天井面に凹凸があります。照明器具の配線等は天井のコンクリートスラブに打ち込まれますので、照明器具の位置を移動したり、照明器具を増設することは難しいでしょう。
「二重天井」は天井のコンクリートスラブと、天井仕上げ材の間に空間を作る構法です。この空間には照明器具の配線や、キッチン、洗面、トイレ、浴室等についている換気扇のダクトが通っています。空間を作ることで、配管等が隠れ、小梁も空間内に収まるため、天井の凹凸が少なく、すっきりした印象になります。また、二重床同様、配管類を移動しやすく、間取りの変更に容易に対応することが可能です。
天井高さの確認
部屋のコンクリート床面から上の階のコンクリート床面までの高さを「階高」、室内のフローリング面から天井面までの内側の高さを「天井高さ」といいます。
この天井高さが十分に確保されていると、部屋が広く開放的に見え、天井高さが狭くなるだけで、少し圧迫感を感じる部屋になります。この天井高さは、床や天井の構法により大きく変わってくるのですが、「直天井・直床」に比べ、「二重天井」では約8cm、「二重床」では約12cmの厚みが必要になります。これだけで室内で感じる天井高に約20cmの差が出ることになります。その為、同じ階高で、「直天井・直床」「二重天井・二重床」の物件があった場合、「直天井・直床」の方が解放的に見えるでしょう。
リフォームやリノベーションの自由度が高い「二重天井・二重床」で、天井高が十分に確保されている物件があれば、リフォームやリノベーションに柔軟に対応できることでしょう。
「二重壁」「構造壁」の確認
二重天井、二重床と同様に「二重壁」の方がリノベーションに適しています。直壁の場合、配線がむき出しになっていたり、コンセントボックスが床や壁から飛び出していることもあります。また、コンセントの移設や、増設、配線を隠すことが出来るので、柔軟な対応ができるでしょう。
「構造壁」についてですが、マンションには専有部分と共用部分があり、手を加えられる場所と勝手に手を加えてはいけない場所があります。中でも構造壁(コンクリート壁)や玄関扉、窓、サッシ、バルコニーは共用部分になります。構造壁は壊したり、穴を開けることも不可能ですが、それ以外の壁は取り壊すことができますので、間取りを検討する際には参考にしてみてください。
管理組合が定めた規約を確認
管理規約には、工事を行う際の決まり事が記載されていますので、事前に確認しましょう。施工可能な日時や、使用する部材等の工事に関連する事項、近隣住民などからの同意等、事前に確認が必要な場合もあります。
また、工事を行う旨を、管理組合から事前に承認を得ないといけない場合がほとんどです。承認までに時間がかかることもありますので、余裕をもって申請した方がよいでしょう。
まとめ
実際のところ、検討しているマンションが自分のイメージ通りのリノベーションが出来る物件なのか・・・間取り図を見ただけでは建物の構造すべては分かりません。
しかし、不動産業者に確認したり、施工図面を見せてもらうことで確認することが可能になります。その上で、内覧で自分の目で細部を確認することで、リノベーションするための判断材料が増えることでしょう。
立地、建物の状態、間取り、価格等、中古物件選びには、精査したいチェックポイントが多くありますが、もし購入を検討しても良いと思える物件に出会えた時には、自分の理想の空間を作るためにも、購入前に目視できない構造部分のチェックもしっかりしておきましょう。