家づくりはデザインにこだわればこだわるほど、コストが上昇しがちです。
建物を建てる上でコストアップするポイントをおさえて、無理なくこだわりを計画に盛り込んでいきましょう。
ポイントその1 施工面積を減らす
住宅を作る際に床面積を狭くすれば当然コストは下がります。しかし、設計者が最初に設計したプランから床面積を減らす。というプロセスを経ると、所どころに矛盾が生じ、バランスの悪い建物になり、不整合を補う形状への材料費が残り、床面積の割には少し割高、という結果になってしまいます。
コストの上限と盛り込みたいポイントの優先順位を明確にして、コストに見合わなさそうであれば設計段階で小さな家を設計する事が満足のいく家づくりになります。
「とりあえず考えて」は後でコストのしわ寄せが来ることを忘れずに。
ポイントその2 間仕切りを減らす
間仕切りを最小限にする事でコストを削減する事ができます。特に玄関、廊下、階段、といった移動のみのスペースを居室空間に取り込む事でスペースの無駄をなくし、ゆったりとした空間を作ることができます。植栽を置いたりプライバシーのアイデアは配置するインテリアで工夫する事でデザイン的な楽しみが増し、今後のレイアウト変更もフレキシブルに行うことができるようになります。
ポイントその3 建物のカタチはシンプルに
建物の形はシンプルな箱形にし、外壁の表面積を最小限にする事で材料費・施工費ともにコストダウンができます。建物は正方形の方が壁面積が少なくなります。また、コーナーの多い形状の建物はその数だけコーナー処理が発生します。コーナー用の材料は通常の部材よりもコストが高いため、余計にコストアップにつながります。なるべくシンプルな箱形にする事でコストダウンを実現できます。
ポイントその4 総二階建てにして屋根部材のコストダウン
1階と2階の面積がほぼ同じ建物を総2階建、1階よりも2階の面積を狭くした構造を部分2階建と言います。それぞれの延べ床面積が同じと考えた場合、総2階建ての方が屋根部材や構造がシンプルになりコストダウンになります。
ポイントその5 屋根の形状は単純に勾配もゆるく
屋根はその形状が複雑になる程コストが上がります。切り妻屋根や、片流れ屋根がシンプルな形状でコストも比較的安くなります。加えて、建てた後のメンテナンスで考えても屋根形状がシンプルな建物は、接続部分から発生する雨漏りなどのメンテナンスコストが比較的かかりにくくなります。また、屋根の勾配が急になる程、屋根面積が増え、足場を組む面積も多くなりコストアップにつながる事も覚えておきましょう。
ポイントその6 廊下を極力減らして居室を広く
屋間仕切りした居室を移動するためだけの廊下は無くすことで役割を持った居室をよりゆったりと広く使う事ができ、不要な壁材などの材料費を抑える事ができます。
見晴らしが良いと空間の居心地が飛躍的に良くなります。オープンな間取りは近年の流行りです。是非シンプルな空間での間取りを検討してみてください。
ポイントその7 一つの空間に2つの目的を持たせる工夫
例えばリビング/ダイニングに2階への階段を取り込む。玄関にインナーテラスを取り込んで家族の生活動線に沿った収納や趣味スペースなどを併設する事でスペースを有効活用でき、構造がシンプルになることでコスト高にならない工夫になります。一つの目的を持った空間に併せてもう一つ機能を持たせる事ができないか、もしくは個室から開放的な空間にする事で解決しないか、そういった視点で見ていく事でよりシンプルで機能的なコスト配慮した建物づくりを実現する事ができます。
この記事のまとめ
外観のデザインが決められるのは注文住宅ならではのメリットです。
コストダウンしたからデザイン性が損なわれる、ということではありません。
設計者としっかりイメージを共有し、間取りとの兼ね合いも十分考慮して納得のいくデザインに仕上げましょう。