家を相続したのは良いけれど、実家には誰も済まず空き家になるケースはよくある話。
空き家として維持していくのにかかる最低限の費用を把握し、空き家として維持していくのか、新たに活用方法を考えていくのか、検討する事が大切です。
税金は土地と空き家両方にかかる
固定資産税や都市計画税は、国が定めた基準を基に、自治体が土地と家屋それぞれの評価額を決め、課税額を算出します。
毎年1月1日時点での所有者が納税対象者となります。
平成6年度から土地の評価額の見直しに伴い、「負担水準」が土地評価額に組み込まれ、一概には言えませんが、大まかに空き家にかかる税金を算出するには下記を参考にイメージをしてみください。「負担水準」については後述します。
固定資産税
固定資産税は、土地と建物それぞれの評価額に標準化税率として1.4%※1課税されます。土地の場合は税率については家屋がある場合、面積規模により評価額の1/6、1/3と軽減処置をおこなった額「課税標準額」に対して課税されます。
A:家屋の評価額 × 1.4%
B:土地の評価額 × 1/6 × 1.4%
固定資産計算例
A:家屋の評価額 1000万円 × 1.4% = 14万円
B:土地の評価額 2400万円 × 1/6 × 1.4% = 5万6千円
14万円 + 5万6千円 = 年間の固定資産税 19万6千円
都市計画税
都市計画税は、土地と建物それぞれの評価額に標準化税率として0.3%課税されます。土地の場合は税率については家屋がある場合、面積規模により評価額の1/6、1/3と軽減処置をおこなった額「課税標準額」に対して課税されます。
A:家屋の評価額 × 0.3%
B:土地の評価額 × 1/3 × 0.3%
都市計画税計算例
A:家屋の評価額 1000万円 × 0.3% = 3万円
B:土地の評価額 2400万円 × 1/3 × 0.3% = 2万4千円
3万円 + 2万4千円 = 年間の都市計画税 5万4千円
※1:自治体によって固定資産税の税率を変更することができますが、ほとんどの自治体では1.4%で計算しています。
負担水準について
平成6年を境に、固定資産にかかる土地の評価額を算出する計算が変わりました。
それ以前は土地の時価から2〜30%程度の値段が評価額として計算されていましたが、
平成6年以降は時価の70%に引き上げられました。これによって土地に対する固定資産税の大幅な値上げとなるのですが、急に税金が高くならないための処置として「負担水準(%)」を時価にかけて、課税標準額を算出し、それに対して課税がされる仕組みになりました。
今回の例では個人で数字が変動するため割愛しますが、実際に負担水準を加味した計算方法は以下のようになります。
[01] 負担水準の算出方法
負担水準(%) = 前年度課税標準額 ÷ 本年度価格等※2 × 100
※2:土地の評価額または本則課税標準額(土地の評価額×1/6)
[02] 課税標準額の計算方法
課税標準額 = B:土地の評価額 × 負担水準(%) × 1/6
[03] 負担水準を加味した土地の固定資産税の計算方法
固定資産税 = [02] 課税標準額 × 1.4%
税率について
土地に家が建っているとかかる税金が軽減されます。
小規模(住宅一戸あたり200㎡までの部分)固定資産税:1/6 都市計画税:1/3
一般(小規模住宅用地以外の住宅用地) 固定資産税:1/3 都市計画税:2/3
水道光熱費などの維持費
建ててから2〜30年経過した家は老朽によって屋根の雨漏り、シロアリの駆除など様々な修繕費用もかかる上に定期的なメンテナンスを行わなければ人が住んでいた時よりも早く劣化が進んでしまいます。
最低限かかる維持費用を見てみましょう。
月にかかる空き家のランニングコストの目安※3
電気代 1,000円程度
水道代 4,000円程度 (2ヶ月)
修繕費/管理費 月10,000円程度
年間で180,000円
※3:[電気代] 300kWh/31A契約で基本料金プラスメンテナンス時に利用した場合を想定 [水道代] 2ヶ月でメンテナンス掃除で少し利用した場合を想定 [修繕費/管理費] マンションの場合、もしくは庭の剪定費用などを想定
本例での年間維持費用は。。
年間およそ 430,000円
月間およそ 35,833円
それ以外にも、雨漏りなどによる屋根の補修など大きな修繕が出てくることも想定しておく必要があります。
家にかかるメンテナンス費用と時期については下記「定期的なメンテナンスで快適な暮らしを!住まいのメンテナンスを知ろう」をご覧ください。
空き家の管理を怠ると税金が優遇されなくなります
空き家の管理を怠りボロボロの状態のまま放置してしまうと自治体からペナルティが科せられ、上記で説明した固定資産税と都市計画税の軽減措置がなくなってしまい、非常に高額な納税額になります。
この記事のまとめ
空き家の維持はそれなりに費用と手間がかかると考えておきましょう。
相続後に住む予定がない場合は、活用方法が考えられるかを不動産会社等に相談しましょう。